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インデックス

Part2

素顔のボクサー

 「これと同じ物、2回もプレゼントでもらったな」。昔の甘酸っぱい思い出がよぎったのか8年前に流行ったグッチのブレスレットを笑いながら見せてくれた。その照れ笑いをした表情にボクシングの練習中には見せない女性らしい素顔を見た。

やるんやったら、とことん

 高校時代、男子10人相手に喧嘩を挑み勝ったという。「売られた喧嘩は買う」それが喧嘩の理由。その噂を聞きつけた西宮西高(現西宮香風高)の恩師・脇浜先生に「リングの上では殴り合っても罪にならんぞ」と誘われボクシングを始める。アマチュア時代戦績は47勝3敗。「北京五輪出場」の夢があった。しかし女子ボクシングは競技として採用されず目標を失いかけていた。「やるんやったら、とことんいこう」とプロ転向を決意する。2007年11月に日本ボクシングコミッション(JBC)が女子を公認、その後、フュチュールジムの平山靖会長に誘われ女子プロボクサーとなる。トレーナー兼選手として、京都市中京区のワンルームマンションで一人暮らしをしている。

家庭的な一面も

 7年来の友人である水野さんが家に遊びに行った時、多田選手は手料理でもてなした。「特に肉じゃががめっちゃおいしくて、びっくりした」と語る水野さん。「それからもおかずの交換をよくする」と実は家庭的な一面も。
 好きなことはファッション。「靴が大好き。いつも買い物に行くと靴を見てしまう」と言う。休日はお気に入りの服と靴でショッピングを楽しむ。
 練習帰りにスタッフと他の選手たちとよくご飯を食べに行く。信頼する仲間との一息。「これ、うまいで」と仲間の皿に料理を取り分け、おちゃらけ口調で場を明るくする。楽しい時間はあっという間に過ぎて行き「おねーちゃん 携帯でみんなを撮って」と店員を呼ぶ。束の間の安らぎをかみしめながらプロボクサーはカメラの前で一瞬おどけて見せた。