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(34)木を語る情報源

材質の良さ、年輪で見極め
吉野杉の樹齢120年もの。赤身と白太の差がよくわかる(京都市中京区)
 木は一年ごとに少しずつ大きくなる。それを如実に示すのが年輪だ。年輪は、すべての木材にあるわけでなく、例えばラワン材など熱帯雨林で成長する木には、はっきりとは見当たらない。逆に言うと、年輪や杢目(もくめ)は、寒暖の差がある地域の樹木にくっきりと表れる。日本人が年輪や杢目にこだわりを持つのは、気候との関係が背景にあるように思われる。
 写真は、樹齢約百二十年の吉野杉の根元を輪切りにした材。年輪のうち赤い部分を「赤身」(赤太(あかた)、心材)、周りの白いところを「白太(しらた)」(辺材)と言う。赤身は、木を支える背骨のような役割を果たす。白太は、成長に伴って後からできていく部分で、梢(こずえ)や枝先に水分や栄養を運んでいる。樹木が成長していくと、白太の細胞に心材物質が蓄積され、赤身に変わっていくのだという。
 木材として主に利用するのは、密度が高く耐水性に優れている赤身の部分だ。対して白太は軟らかいから虫が入りやすい。日本の建築は、赤身、白太、そして両者が混じった「源平(げんぺい)」を用途に応じて器用に使い分ける。
 私たちが原木を買う時は、必ずこの年輪(木口(こぐち)とも言う)を凝視して語りかける。「この辺に節があるな」「風になびいてヒビが入っているのか」「妙に堅そうな部分があるね」などと問いかけ、木が返事をしてくれたら一人前なのだそう。私の場合は、まだ人見知りされているようだ。

【2004年2月3日掲載】