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(5)志方隆司副主査 森林公共人材専攻

「森のシェフ」を育成

課題解決に向けた実習「試運転」で、倒木を利用してベンチを作成する学生(船井郡京丹波町大倉)
課題解決に向けた実習「試運転」で、倒木を利用してベンチを作成する学生(船井郡京丹波町大倉)

 林業大学校において、学生が2年間学ぶ「森林林業科」には、森林・林業の基礎から実践的な技術を学ぶ林業専攻と森林公共人材専攻の2コースがあります。

 とりわけ、森林公共人材専攻では、森を「地域の宝」と捉え、林業技術と公共政策学の知識を駆使して地域おこしに役立つ人材を育成しています。

 当専攻の「強み」は絵(計画)を描くだけでなく、自ら実現できるところです。例えば、樹木で遮られた展望の利かない森を自らプランを立てて伐採し、「広葉樹に囲まれた田園風景」を浮かび上がらせることができます。メニューを考え、自ら調理と盛り付けもできるシェフ(料理長)のような存在です。それでは当専攻のカリキュラムを紹介します。

 1年生前期は林業専攻との共通科目で「森林科学」「木材加工」などの基礎知識と、チェーンソーや車両系建設機械の操作など現場で必要な安全教育を身につけます。

 1年生後期では、植栽・きのこ栽培などの技術の実践や、伐採・製材・建築の各段階で木材の価値を高める「木材コーディネート」を学びます。

 また、本校の授業とは別に京都府立大公共政策学部で「市民参加論」など5科目の講義も受講します。

 2年生では京都府独自の資格である「森林公共政策士」の取得を目指して卒業研究に取り組みます。

 森林公共人材専攻の卒業研究の特徴は、▽「クライアント」と呼ばれる「依頼人」の存在▽グループで課題に取り組み、「提案」という形による解決策の提示▽机上の提案に終わらず、実際に現地で行う「試運転」の必要性―という点です。

 提案のためにインターネットや図書で情報収集に励み、現地調査を行います。また2年生秋に実施する、森林・林業の現場やNPO法人・企業のCSR(社会貢献)活動で行う実学実習(キャップストーン研修)も大いに役立ちます。

 昨年度の卒業生の卒業研究は、京丹波町をクライアントに、集落に近接する丘、「やすらぎの森」を舞台にして、住民、保育園児がふるさとの風景を味わい、森の遊びを楽しめる「現代の里山」を提案しました。

 卒業生は、森林組合、林業事業体に加え、大学の研究林、国の森林整備法人やNPO法人などで幅広く活躍しています。

しかた・たかし

志方隆司副主査

 1957年愛知県生まれ、京都育ち。信州大大学院修了。1983年に京都府採用後、治山・造林事業に従事。林業専門技術員を経て、2012年開校より府立林業大学校勤務。歴任した科目は森林公共・育林・林業経営・森林科学・治山工学など。17年度まで教授。

【2019年06月25日掲載】