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(4)精密検査 心配しすぎず まず受診を

細胞や組織採取し、顕微鏡で確認 しこり小さな時はMRIも
2007年度 乳がん検診受診者数・要精密検査者数・がん発見数
 今年6月、初めて乳がん検診を受けた京都市伏見区の女性会社員(42)は、「要精密検査」との通知を受け取った。「どうしよう、乳がんかも…」。健康に自信があっただけに動揺した。覚悟を決め、乳腺外来のある病院に予約の電話を入れたのは1週間後だった。

がんの確率は低い

 「『要精検』といっても、その中から実際に乳がんが見つかる確率は高くない。心配しすぎることなく、まず詳しい検査を受けてほしい」。日本乳癌(がん)学会認定の乳腺専門医でもある京都第二赤十字病院(上京区)外科副部長の藤井宏二医師は呼びかける。  精密検査の結果、この女性会社員のしこりは良性と判明した。
 厚生労働省のまとめによると、京都府の2007年度の視触診・マンモグラフィー併用検診では、要精検率6・7%に対し、がん発見率は0・3%となっている。「マンモグラフィーは精度の高い検診だが、左右の乳腺の濃さが非対称な場合など紛らわしいケースでも引っかかることがある」と藤井医師は説明する。
 要精密検査の通知を受けたら、専門の病院で検査を受ける。通知とともに、▽マンモグラフィーや超音波などの検査機器を設置している▽しこりに細い注射針を刺して細胞を吸い取って調べる「穿刺(せんし)吸引細胞診」ができる医師がいる−などの条件を満たす医療機関のリストが参考資料として送付される。
 精密検査は、検診で見つかったしこりや石灰化ががんかどうか確定するための検査だ。最終的には細胞や組織を顕微鏡で見て確かめる。
 同病院では、しこりの大小やがんの疑いの濃さなどによって、穿刺吸引細胞診か、より太い針で組織の一部を取る組織診(針生検)を行う。非常に早期の乳がんなどで明らかなしこりに触れない場合は、MRI(磁気共鳴画像装置)による検査や「マンモトーム生検」という特殊な針生検を行うこともある。
 検査結果が出るのは、だいたい1週間後。乳がんと確定した場合は、医師が病状を説明し、患者の意志を聞き取りながら治療方針を決定していく。
 藤井医師は「最初はなるべく直接的に『がん』という言葉を使わず、婉曲(えんきょく)な表現で説明するよう心がけている」と言う。それでも、ショックを受け、取り乱す患者もいる。1回では事態を受け止めきれないケースも多く、理解してもらうまでに2、3回通院してもらうこともある。

キーパーソン重要

 同病院が重視するのが、患者を精神的に支える「キーパーソン」の存在だ。精密検査の結果を伝える際、患者にアンケートを記入してもらう。病気への思いや心配な点、質問などを自由に書いてもらうとともに、「ご病気についてどなたと説明をお聞きになりたいですか。−−一人で/配偶者/子ども/親/兄弟姉妹/その他」といった設問が並ぶ。
 「乳がんの治療を進めるには、本人に病状を理解してもらい、一番適した治療方法に納得してもらわなければならない。誰がキーパーソンか病院側も把握していれば、より意思の疎通がスムーズになる」と藤井医師。「不安や疑問があれば、どんどん聞いてほしい。患者と医師や看護師がコミュニケーションを取ることが、より良い治療につながるんです」
【2009年12月11日掲載】