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(3)ニチコン 荒木幸彦社長

経営分かる技術者育成

 3期連続で増収増益となる中、生産や営業など幅広い経験を買われ、抜擢された荒木幸彦社長。活発な電子部品需要に応えるための戦略などを聞いた。(社会報道部・経済 小川卓宏)

 −新社長として取り組みたいことは。
 「2011年3月に創業60周年を迎える。それまでに海外売上高比率70%、新製品比率50%などの目標を着実に達成していきたい。前社長が9年間で約1200億円の投資を続け事業の集中と選択を行い、筋肉質な経営基盤は整った。さらに経営基盤を強化するため毎年100億円規模の投資を続ける」

 −市場動向は。
 「電子部品は家電や通信機器、自動車など使用される分野が幅広く、まだまだ伸びていく恵まれたマーケットだ。特にこれからは自動車の電子化が進み、需要が増えていく。4年後には売上高に占める自動車向け製品の割合は現在の15%から20%に拡大すると見込んでいる。液晶テレビなどの製品価格は下がっており、部品の単価下落につながっているが、その要望に応えるのはビジネスとして当然のことと受け止めている」

 −競争の中で成長するために必要なことは。
 「部品だけでなく、材料生産などの前工程から自社で行う『垂直統合』を進め、コスト削減につなげている。また、顧客ニーズを先取りして商品レベルを高めていくことが求められている。それを実現するためには、商品を作るだけでなく、利益を生んで初めて開発が終わる、という感覚を身につけた『経営の分かる技術者』が必要だ。当社には『人こそがニチコンのエネルギー』という理念がある。新卒の積極採用継続や役員若返りにも取り組む。草津工場長や生産本部長などを務めた生産現場での長い経験を生かし、現場と同じ目線で人材育成に努めたい」

 −有望な新規事業は。
 「4月に参入した瞬時電圧低下補償装置(瞬低装置)事業が伸びている。停電によるダメージに弱い半導体工場などで使用されており、当社のコンデンサー開発、量産技術とデジタル制御技術を応用した新商品だ。今後も部品だけの軽佻(けいちょう)浮薄な商品だけでなく、当社の技術を組み合わせた重厚長大な商品開発を続けていきたい」

【2007年7月31日掲載】