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楽しいゴルフ道具追求

ルーツゴルフ(京都市山科区)
特殊合金スーパーアーメットを表面の素材に使い、飛距離を高めたゴルフクラブ(京都市山科区・ルーツゴルフ)
特殊合金スーパーアーメットを表面の素材に使い、飛距離を高めたゴルフクラブ(京都市山科区・ルーツゴルフ)
 ゴルフボールをつぶすような独特の感触を手に残し、高速で打球が飛び出した。7番アイアンで飛距離165ヤードは普段の1割増しだ。クラブを試打する記者に、平野俊雄社長(51)は「飛ぶでしょう?クラブを変えれば、ゴルフが変わりますよ」と笑った。

 飛距離性能を重視したゴルフクラブ「じゅらく」と「クリック」を製造販売する。秘密はクラブ表面の素材に使う特殊合金「スーパーアーメット」で、主流のチタンの2・4倍という強度から薄さ1・8ミリに加工でき、反発力を高めた。重心や形状などにも工夫を施し、上級者の平野社長はドライバーで他社製より10ヤード距離を伸ばすという。

 大学卒業後、平野社長は大手ゴルフ用品会社に17年間勤めた。開発でなく販売畑を歩み「飛ばしたい」「スライスを防ぎたい」という顧客の声に触れ続けた。大阪市の合成繊維メーカーのゴルフ事業部を経て、2003年に独立。大手メーカーと違ってプロ仕様を作らず、アマチュア向けに特化したクラブを製造し続けている。

 合繊メーカー時代に扱い始めたスーパーアーメットは「じゃじゃ馬な材料」という。特殊な熱処理工程が必要な上、主成分が鉄でさびやすい。他社にない製造ノウハウが強みで、平野社長は「クラブで使えるのは世界でうちだけ」と胸を張る。

 大手ほどの宣伝費用をかけられない中、口コミを中心に評価を高めてきた。独立9年目でアイアンを年間500セット販売し、11年7月期の売上高は1億4千万円。業界では値下げ競争も見られるが、他社より1~2割高い価格を維持し、「値段でなく品質の良さを感じて買ってほしい」とする。

 「飛距離が落ちた」と嘆いてゴルフをやめる高齢男性を見る度に平野社長は思う。「優しく飛び、ゴルフを生涯面白いと感じてもらえる道具を作り続けよう」。

平野俊雄(ひらの・としお)社長

 関西外国語大を卒業後、1983年大手ゴルフ用品専門会社入社。合繊メーカー「ゴーセン」ゴルフ事業部に勤務後、2003年12月にルーツゴルフを設立。京都市右京区出身、大津市在住。51歳。

【2012年05月14日掲載】