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JA京都中央会会長 中川泰宏氏

農家に外国人材活用
中川泰宏氏
なかがわ・やすひろ 園部高卒。酪農業。旧八木町で農協組合長、町長を歴任。1995年からJA京都中央会・各連合会会長。2005年衆院選に京都4区で当選し、1期務めた。南丹市在住。67歳。

 環太平洋連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効し農畜産物の輸入が拡大する中、担い手不足などの課題を抱える京都の農業の展望をどう描くのか、JA京都中央会の中川泰宏会長に聞いた。

 ―TPPやEPAの影響は。
 「いずれも京都の農業への影響はほとんどない。ニュージーランドからは以前からカボチャを輸入しており、オーストラリアの牛肉は餌や土地の影響で肉質が違い、和牛とは別物だ。欧州の牛肉も日本に輸出するほどの余力は無い。怖いのは米国だ。牛肉もコメも、日本に合わせた品質でつくる技術や生産力がある。そもそも、日本で肉牛肥育に使う穀物も多くは米国産だ。米国との関税を巡る2国間交渉の結果は影響が大きいはずだ」

 ―海外での販売促進に力を入れている。
 「京野菜や京都の牛肉を輸出するため、自ら出向いている。海外でも品質や味への評価はとても高い。現地で同じ品種をつくっても土や気候が違い、京野菜にはかなわない。アラブ向けにハラール処理にも取り組んでいて、トルコを突破口に中東の富裕層向けに京都の牛肉を輸出したい。主に欧州では東日本大震災の原発事故の影響が大きく、輸出は進んでいないが、海外での高評価が国内に伝わればブランド化につながり、農家も自信を持てる」

 ―府内のJAは正組合員と准組合員の区分撤廃を進めているが目的は。
 「従来の定款では、年間50日以上など農業従事日数の基準を超えないと農家ではなく、正組合員にはなれなかった。すると、農地はあるが農作業をやめた高齢者や勤めに出る人は農家ではなくなる。近年は農業法人に農地を預け、耕作してもらう人が多く従来の定款は実態に合わない。農業を続けるためには山や水の管理、草刈りなど地域で農地を守る必要がある。従来の基準では農家にならない人も正組合員と同等にして一緒に農業を考え、農地を守ってもらう。それを支え、助言するのがJAだ」

 ―担い手や後継者不足の問題もあるが、今後の展望は。
 「農業は好きでないとできない。生育状況や病気など小さな変化に気付けるのは好きな人。そうなると国内だけでは人が集まらない。特区を利用して人手が足りない農家に外国人労働者を派遣する組織をつくった。第1陣として20人ほどが入ってくる見込みだ。こうした制度を利用し、単なる大型化、大規模化を目指すのではなく、いいものをつくってほしい。JAは付加価値を付けて高く売ることを目指し、お金に追われない余裕のある農業を実現したい」

【2019年03月27日掲載】