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日本新薬社長 前川重信氏

IT投資、創薬を加速
前川重信氏
まえかわ・しげのぶ 同志社大文学部卒。1976年、日本新薬入社。経営企画部長、執行役員を経て2005年に取締役に就任。07年6月から現職。関西医薬品協会会長、日本製薬団体連合会副会長。東近江市出身。66歳。

 日本新薬が業績を拡大している。2019年3月期連結決算は、8年連続の増収・経常増益を達成。新たな中期経営計画では24年3月期に売上高1500億円を目指す目標も掲げた。変革の波が製薬業界にも押し寄せる中、どのような成長戦略を描くのか。創立100周年を前に前川重信社長に聞いた。

 ―業績が好調な理由は何か。
 「社長就任当時は新薬の開発が停滞し、社員の士気が下がっていたので、覚悟を示すために年平均1品目以上の新薬を世に出すという難しい目標を公表した。ハードルが高い自社創薬だけでなく、開発・販売権の導入、対象の疾患を広げる適応拡大を事業の3本柱に据えると、新製品が次々と出るようになり、好循環が生まれた」

 ―事業規模の拡大に伴う課題は。
 「一番は海外展開だ。外国での治験や知的財産管理は経験が少なく、対応できる人材が欠かせない。これまで中途採用で30人以上を迎えており、これからも拡大していく」

 ―国産初の「核酸医薬品」を目指し、日米で臨床試験中の新薬候補の進ちょくは。
 「難病の筋ジストロフィーの適応に向けて治験中で、実を結びつつある。9月中に必要な手続きを終えて日米同時に承認申請する。来春までに結果が出るので、承認が得られれば20年中に市場投入したい。次に続く核酸医薬品の候補も5品目持っており、将来の社業をけん引する大きなターゲット領域だ」

 ―新中期経営計画で人工知能(AI)の積極活用を打ち出した。
 「今後5年間に投じる予定の研究開発費は1200億円で、過去5年間の実績の2倍に増やす。AIや定型作業を自動化する『RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)』の導入などIT投資も強化し、創薬の効率化と働き方改革を加速する。AIは新卒採用や人員配置などにも活用したい」

 ―今年10月で創立100周年を迎える。
 「次の50年、100年に向けた一つの通過点だ。医薬品の開発は時間がかかるので常に10~15年先の事業プランは描いているが、さらに先の長期ビジョンも考えたい。他社がやらないことを磨いて存在意義を高めていく」

【2019年06月13日掲載】