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障害児の本質向き合う

わくわく共育ステーション代表取締役 大和幸子さん
わくわく共育ステーション代表取締役 大和幸子さん
わくわく共育ステーション代表取締役 大和幸子さん

 運営する障害児の通所訓練所「放課後等デイサービスなないろ」(大津市)からは、子どもたちのにぎやかな声が聞こえる。「1人1人の課題解決を探ることは、まるで『宝探し』のよう。前向きな変化や成長が何よりうれしい。障害児の課題解決こそ、社会の課題解決の原点だ」と力を込める。

 主婦業の傍らパート勤務をしていた際、介護施設を運営する知人から「放課後等デイサービス」の開設を勧められた。笑って受け流したが、「頭の片隅に残って、想像を膨らますうちに世界が広がるような感覚があった」。気づくと資格の取得や物件探しに取りかかっていた。

 開設当初は、福祉制度の勉強やスタッフの育成、経営に奔走した。障害児と接するのも初めてだったが、発達障害や自閉症の子と関わる中で違和感を感じた。「障害児でも社交的で積極的な子はたくさんいる。『診断名』ではなく、子の本質と向き合いたい」

 現在は小学1年~高校3年の26人が在籍し、学校帰りに通所してくる。スタッフとともにその場の雰囲気作りに注意を払い、子どもたちを叱ったり、なだめたりする「操作」をせず、感情を「ただ受け取る」という方針を貫く。通所するうちに暴言や暴力がなくなり、意思疎通できるようになったケースも多い。

 課題解決にも余念がない。金銭感覚を養わせたいと、おもちゃの硬貨で買い物や貯金、借り入れを学ぶプログラムをやってみた。偏食で便秘がちと聞けば、ふなずしを漬ける際に使った米飯を粉末にし、提供する給食のメニューに混ぜ込んだ。排便に効果を感じ、自宅でも活用してほしいと市販化を目指している。

 つらい時でも、保護者や学校の先生から子どもたちが通所を心待ちにしている様子を聞くと「みんなを幸せにできる場なんだと元気が出てくる」とほほえむ。障害を理由に短命であると診断された子もいた。「親が子どもを残して亡くなっても大丈夫と思えるような、誰もが幸せで安心して暮らせる世の中に近づけたい」

やまと・さちこ 帝塚山学院大文学部卒業。大手住宅メーカーでの勤務などを経て2014年に会社を設立し、15年に開所。現在は保育士の長女(24)もスタッフとして施設を手伝う。「京信・地域の起業家アワード優秀賞」受賞。大阪市出身、大津市在住。54歳。

【2019年05月19日掲載】