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大津の商店街に町家ホテル

にぎわい期待、稼働率課題
アーケード街の中に開業した「商店街ホテル講 大津百町」の1棟(大津市長等2丁目) 1棟貸しのホテルにはキッチンがあり、商店街で購入した食材を調理できる(大津市長等2丁目)=自遊人提供
アーケード街の中に開業した「商店街ホテル講 大津百町」の1棟(大津市長等2丁目) 1棟貸しのホテルにはキッチンがあり、商店街で購入した食材を調理できる(大津市長等2丁目)
1棟貸しのホテルにはキッチンがあり、商店街で購入した食材を調理できる(大津市長等2丁目)=自遊人提供
1棟貸しのホテルにはキッチンがあり、商店街で購入した食材を調理できる(大津市長等2丁目)=自遊人提供

 大津市中心部の空き町家を改修した7棟のホテルを軸に、商店街と地域の活性化を目指すプロジェクトが始まった。周辺の店舗で飲食や買い物を促す狙いで、町家を宿に活用する「宿場町構想」を掲げる市も支援する。期待は大きいが、客室稼働率の改善など課題も出ている。

 シャッターの閉まった店舗も多いアーケード街で、改修した町家が目を引く。「商店街ホテル講 大津百町」だ。三つの商店街がある中町通と旧東海道の京町通に1棟貸しと部屋タイプの計7棟が点在する。著名建築家が設計し、モダンに生まれ変わった室内には北欧の高級家具を配置した。

 事業オーナーは、町家を改修した谷口工務店(竜王町)。出版業で宿泊施設も経営する「自遊人」(新潟県南魚沼市)が企画・運営を担う。4月末にプレオープンし、6月末から全棟で開業した。

 コンセプトは「街に泊まって、食べて、飲んで、買って」。商店街を一つのホテルに見立て、滞在しながら地域の飲食店や商店、銭湯を巡ってもらう試みだ。夕食は提供せず、1棟貸しタイプではキッチンで購入した食材を調理できる。

 スタッフが、宿泊客を連れて商店街を案内するツアーを開催。ふなずしや湖魚、地酒、漬物を土産に購入する人も多いという。

 1850年創業でかつて宮内省御用達だった漬物店「八百与(やおよ)」の店主小倉与七郎さん(68)は「週に1、2回来て漬物を買ってくれる。もっと宿泊客が増えれば効果が出てくるのでは」と期待する。

 課題はホテルの稼働率改善だ。1泊の料金は1人9900円~5万5千円と周辺相場より高めの設定。半額にしていたプレオープン期間は満室になることもあったが、本来の価格にしてからは稼働率が下がった。

 ホテル講のマネージャー小川恭呼さん(38)は「まだ本格的なPR活動を展開しておらず、認知度向上はこれからだ」と語る。評判を聞きつけて関東や九州からも訪れる客がおり、需要は十分あるとみる。「一人一人の満足度を高めれば人気も付いてくる」といい、稼働率7~8割を目指す。

 一方、商店街の店主からは「効果は感じない」「うちには関係ない」との声も聞かれた。夕方に閉店して日曜に休む店も多く、宿泊客が散策する時間に合わないケースもある。

 菱屋町商店街振興組合の寺田武彦理事長(65)はホテル講の開業を「商店街にとって大きなチャンス」とみている。経営する果物店ではフルーツサンドなども出しており、訪れた宿泊客が「安いのにおいしい」と喜んでいるという。

 寺田理事長は「これまで地元の人ばかりの商店街で観光客は少なかった。店によって温度差があり、意識を高めないといけない」と訴える。

 大津市によると、ホテルの施設整備には経済産業省の補助金約9千万円が充てられた。市は中心市街地活性化計画に位置づけて協力した。市は「開業したばかりで評価するには早い。何とか成功してほしい」としている。

【2018年08月05日掲載】