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安易な高さ規制緩和反対 京都市景観まちづくりネット

有識者委に意見書、住民参画も要望
京都市の鈴木都市計画局長(左)に意見書を提出する市地域景観まちづくりネットワークのメンバー=中京区・市役所
京都市の鈴木都市計画局長(左)に意見書を提出する市地域景観まちづくりネットワークのメンバー=中京区・市役所

 京都市が一部地域で検討中の高さ規制の緩和について、市内で景観保全に取り組む「市地域景観まちづくりネットワーク」は8日、安易な緩和を行わないことや住民団体との連携を求める意見書を市の有識者検討委員会宛てに提出した。

  地価の高騰などでオフィスやマンションが不足する中、市は新景観政策の見直しに着手。昨年11月には、JR丹波口駅西側の五条通沿いで現行の高さ上限(20メートル)を一定の条件下で緩和することなど、複数の例を検討委に示している。

 意見書では、美観地区や風致地区などについて「実質的な高さ規制の緩和につながるような対策は採用されないよう望む」とし、政策立案の過程で住民団体の声を聞くよう求めた。

 同ネットワークを構成する11の地域景観づくり協議会の一つ、姉小路界隈(かいわい)まちづくり協議会(中京区)の谷口親平事務局長ら6人が中京区の市役所を訪れ、市都市計画局の鈴木章一郎局長に意見書を手渡した。

 地域景観づくり協議会は、市街地景観整備条例に基づき地域で景観保全に取り組む団体で、市が認定している。現在、先斗町(中京区)や嵐山(右京区)、桂坂(西京区)など11地域にあり、店舗を建てる業者との事前協議などを行っている。

地域との連携不足に不満

 景観保全を最前線で担っている京都市地域景観まちづくりネットワークが、建物の高さ規制の緩和に「待った」をかけた。背景には、市の議論や地域との連携の進め方に対する不満がある。市や有識者検討委員会は、地域の景観保全に取り組む市民の声に耳を傾ける必要がある。

 「われわれは良好な景観づくりに日々汗をかいている。高さ規制の緩和方針はそれをないがしろにするものだ」。中京区の市役所で記者会見した姉小路界隈まちづくり協議会の谷口親平事務局長は、厳しい口調で語った。

 同協議会は市から地域景観づくり協議会の認定を受け、建築などを行う事業者と事前協議を行っている。建物の高さの抑制を依頼したり、通りの景観を損ねない外観づくりへの協力を求めたり、地域の景観保全に貢献している。

 市は上限を超える高さを一定の条件下で認める「特例許可制度」の見直し例として、御池通(河原町通~堀川通)沿いの上限を現行の31メートルから34~36メートル程度に引き上げることを挙げている。姉小路通は御池通から1本南だけに、谷口さんは「景観空間を奪う行為には納得がいかない」と憤る。

 同ネットワーク事務局の森川宏剛さん(50)は「高さ規制の緩和に全面的に反対というわけではない」と話す。だが、市が具体的な高さ規制の緩和方針を一方的に示したことについて「まちの歴史を無視している。事前に相談があってしかるべきだ」と主張する。

 同ネットワークに加盟する地域景観づくり協議会は、市の制度に基づく団体だ。メンバーからは「現場は苦労しているのに、市は協力してくれない」「何か要望しても『担当部局が違う』と言われる」などと不満の声が出ている。

 景観保全を担う現場の意見を聞き、施策に生かす仕組みを作れないか。市幹部は「新景観政策の骨格を守っていくという大きな方向性で、思いは一致している。意見を重く受け止めて今後の議論に生かしたい」と気を引き締めた。

【2019年02月09日掲載】