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総合選抜廃止  「15の春」泣かさぬには

 京都の公立高普通科の入試制度が大きく塗り変わる。府教育委員会の田原博明教育長が、全国で唯一、京都市と乙訓地域で実施してきた総定員分の合格者を決めたうえで通学校を振り分ける「総合選抜」を廃止する方針を明言した。
 同時に、学力や進学希望別にコース分けした類・類型制度も見直すという。早ければ2014年春の入試から学校ごとに出願して合否を決める「単独選抜」に移行する。
 制度の見直しは、受験生が自分で学校を選択したいという希望に沿った。府教委と京都市教委が昨年秋から公立高の在り方を考える有識者懇談会で検討してきた。両教委が中学生と父母、高校入学者に行った意識調査では、7割前後が自宅住所地で通学校が決まる現行制度に否定的だったという。自分で進学先を決めたいという声に応えた入試制度改革として前向きに受け止めたい。
 府内の公立高には戦後、小学区制と男女共学制、複数学科を併設する総合制を柱にする「高校3原則」があった。「15の春は泣かせない」と形容されたが、7期28年に及ぶ蜷川虎三知事府政の終わりを契機に見直しが行われた。
 1985年からは普通科への類・類型導入と府内を9の通学圏に分けた制度に改まった。09年には京都市・乙訓地域で通学圏を4から2にし、学校選択の幅を広げた。しかし、志望先が選べる希望枠を設けるなどして制度が継ぎはぎ状態となり、複雑化していた。
 高校進学率がほぼ100%になり、少子化もあって全入時代になった。今春入試で全日制普通科Ⅰ類が現行の制度で初めて定員割れしたことも見直しにつながった。
 総合選抜廃止により、公立高は選ばれる側になる。校風や学業、進学実績、部活動の成果などで序列化が進み、学校間の人気格差が広がる可能性がある。各校がこれまでから取り組んできた特色ある学校づくりの真価が問われることになる。高校側には学校の姿を受験生や父母が学校選びの参考にできるような形で情報開示する責任も出てくる。
 私学の授業料無償化に伴い、京都市内では私立高への進学志向も高まっている。公立高と私学との競い合いは避けられない。
 ただ、志望校以外への進学を望まない専願傾向が強まる恐れがある。公立高1校だけを受験して不合格になり、進学先を失うケースに備える必要がある。
 受験生へのセーフティーネットは欠かせない。志望校を複数選択できる仕組みを取り入れるなど、受験機会の複数化を可能にする制度設計をぜひ考えてもらいたい。

[京都新聞 2012年09月28日掲載]

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