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地震動予測地図  普段から地震の備えを

 今後30年間に震度6弱以上の強い地震が起こる確率などを示した「全国地震動予測地図」の2016年版が公開された。南海トラフ地震で大きな被害が予想される静岡県から四国にかけての太平洋側で、前回の14年版に比べて確率が上昇しており、関東地域の一部でも高い確率が続く。防災の備えを普段から進めておきたい。
 予測地図は、国民の防災意識の向上に役立てようと、政府の地震調査委員会が05年から公表している。東日本大震災を予測できなかった反省から11年以降は新しい計算方法を検討し、明確な発生記録のない巨大地震を確率計算に組み込み、活断層の調査結果を盛り込むなど、最新の科学的知見を反映させて改訂している。
 16年版では、東海沖から四国沖に延びる南海トラフで、海側のプレート(岩板)が陸側のプレートの下に沈み込んで蓄積されるひずみが前回より大きくなっていることから、太平洋側で都道府県庁のある市では静岡市68%、津市62%、和歌山市57%、高知市73%といずれも前回より2ポイント上昇した。
 関東地域では、首都直下地震や相模トラフで起きるとされる海溝型地震の影響で水戸市81%、千葉市85%、横浜市81%など軒並み80%を超える高い数値になった。
 さらに、糸魚川-静岡構造線断層帯の予測が見直され、長野県安曇野市では前回の19・1%から29・5%に急上昇している。
 ただし、注意すべきは数値が低いからといって安心できないことだ。16年版は今年1月1日が基準で、熊本市は7・6%と前回から0・2ポイント下がるなど、九州北部ではわずかに発生確率が減少していたが、4月に熊本県内で震度7の地震が2回も発生した。京滋では京都市13%、大津市10・8%だが、決して油断はできない。
 熊本地震のように活断層がずれる内陸の地震の発生間隔は千年から数万年単位で、海底のプレートがずれて起こる地震より長く、今後30年間という時間枠で計算すると、どうしても発生確率の数字は小さくなってしまうという。予測地図はまだまだ国民にとってなじみがあるとは言い難く、地震の危険性などを分かりやすく伝える努力が引き続き求められる。
 調査委員会は、建物がどう揺れるかという分析や詳細な地盤データを盛り込んで、現実に即した地図に更新していく方針という。日本国内ではいつ、どこで強い地震が起きるかわからない。熊本地震で得た教訓を生かしたい。

[京都新聞 2016年06月15日掲載]

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