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相模原殺傷事件  犯行は残忍で言葉失う

 相模原市の障害者施設に男が侵入し、入所者数十人が次々に刺された。19人が死亡し、26人が重軽傷を負った。男は施設の元職員とみられ、「ナイフで刺したことは間違いない」と話している。
 19人もの犠牲者を出した殺人事件は戦後、前例がない。動機や背後関係の解明を待ちたい。
 事件があったのは26日午前2時45分ごろで、相模原市緑区の「津久井やまゆり園」から「施設内に刃物を持った男が侵入してきた」と神奈川県警に110番通報があった。午前3時すぎに、「私がやりました」と警察署に26歳の元職員が出頭したという。
 警察は男を殺人未遂などの疑いで逮捕し、詳しい経過や犯行動機を調べている。これまでの捜査では、男は約4年前から施設に勤務し、今年2月に退職している。
 容疑者とみられる男が、この頃に衆院議長公邸に障害者殺害を予告する手紙を持参していたことも分かった。政府関係者によると、予告は手書きで書かれ、施設名を挙げたうえで「職員の少ない夜勤に決行する」「見守り職員は結束バンドで身動き、外部との連絡を取れなくします」と実際の犯行通りに具体的に記していた。
 警察当局によると、「他害の恐れがある」として、精神保健福祉法に基づき、3月まで措置入院させたという。こうした経緯がありながら、今回の容疑者の犯行をなぜ事前に防げなかったのかが捜査の重大なポイントとなる。
 多くの障害者が首を狙われており、就寝中に無抵抗だったと思われる入所者を狙う犯行は残忍で、卑劣きわまりない。男が「障害者なんていなくなってしまえ」という趣旨の発言をしたことには言葉を失ってしまう。
 容疑者は乗用車で乗り付けており、刃物やナイフ計3本を持っていた。刃物の入手経路を調べ、計画性の有無も判断する。夜間は職員8人が宿直勤務しており、他に警備員1人も施設にいた。
 施設は神奈川県が建設し、県内の社会福祉法人が指定管理者として運営し、サービスを担当していた。
事件当時は19~75歳の149人が八つの寮に分かれて滞在していたという。
 現場は神奈川県内の最北部にある。JR中央線の相模湖駅から東へ約2キロ、近くに小学校があり、山あいの住宅地の一角にある。
 男は居住棟の入り口ドアをハンマーで破って侵入したという。施設の警備体制が十分だったかも検証が必要だろう。

[京都新聞 2016年07月27日掲載]

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