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熱中症  気配りしあい防ぎたい

 暦の上で「立秋」を過ぎたとはいえ、全国的に猛烈な暑さが続き、熱中症の症状で救急搬送される人が急激に増えている。
 気象庁は、この先お盆にかけても気温が平年より高めで、近畿では最高気温35度以上の猛暑日が続出するとみている。熱中症は外出時だけでなく、室内でも発症するため、改めて地域、家庭などで警戒を強め、予防を心掛けたい。
 消防庁によると、今月1~7日の1週間に熱中症のため全国で6588人(速報値)が救急搬送された。前週より2463人増え、週間集計で今年最多となった。うち搬送先で12人が死亡した。
 体温を超える37度台も相次いだ京都府内では搬送数が前週から約2・5倍の206人、滋賀県内は約1・7倍の88人に急増した。ともに今年の集計で死者は出ていないが、3週間以上の入院が必要な重症者が計20人に上っている。
 熱中症は、高温多湿の場所に長時間いることで体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節機能が低下して発症する。めまいや頭痛、手足のしびれ、ひどいときは意識障害やけいれんが起きる。
 特に体温調節や発汗機能が低下している高齢者は気をつけたい。搬送者の約半数を占め、持病が悪化する危険性も高い。高齢者は暑さやのどの乾きを感じにくく、施設入所者でも本人、周囲が気付かない「隠れ脱水」状態が2割に上るという調査結果もある。
 暑い日は外出を控えるとともに、室内でも適切な冷房とこまめな水分補給が重要だ。異変時に水分や塩分を素早く吸収できる経口補水液なども上手に活用したい。家族や近所の人も気を配り、声を掛け合うなどしてほしい。
 子どもへの注意も必要だ。ベビーカーは地面の熱に近く、大人以上に高温にさらされている。車中は温度が上昇しやすく、短時間でも子どもを残すことは危険だ。
 今夏は人気ゲーム「ポケモンGO」で遊ぶ子も多く、炎天下でもつい夢中になりがちだ。事故と熱中症から身を守る遊び方、服装などに保護者が目を配りたい。
 中高生はクラブ活動中の発症も少なくない。暑い時間帯を避け、無理をさせないよう配慮するとともに、異変にいち早く気付ける指導態勢を徹底してほしい。
 気象庁の高温注意情報に加え、環境省は熱中症の危険度を示す「暑さ指数」予測サイトで注意を呼び掛けている。これらも活用して正しい予防や対処法を身につけ、厳しい暑さを乗り切りたい。

[京都新聞 2016年08月10日掲載]

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