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パラリンピック  混乱なく成功を目指せ

 リオデジャネイロ・パラリンピックが開幕を直前に混乱を見せている。国ぐるみのドーピングによってロシアが国際パラリンピック委員会(IPC)に参加を全面除外されたほか、現地のスポンサー不足による資金難から会場の一部が変更された。
 開幕する来月9日まで2週間を切った。参加者は4千人を超え、障害を乗り越えて競うアスリートの純粋な姿は人々に感動を与える。成功を祈りたい。
 ロシアの不参加は、7月に世界反ドーピング機関(WADA)調査チームの報告書で不正が認定されたためだ。WADAは国際オリンピック委員会(IOC)とIPCにロシア選手団のリオ大会の除外検討を勧告した。IPCはIOCが見送った全面除外を決め、ロシアがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴していたが、聴聞会を開いても決定は覆らなかった。
 選手に薬物をとらせて競技に影響を与えることは許されない。パラリンピックにまで広がった薬物汚染は驚きだった。
 五輪にロシアの陸上選手団が参加できなくなったのは残念だ。国ぐるみとされたドーピングと決別し、4年後の東京大会からは全面復帰してもらいたい。
 パラリンピックではロシアは前回のロンドン大会で金メダル数は中国に次ぐ2位の36個という強豪国である。18競技に267選手の出場枠を得ていた。特に陸上や水泳で確固たる地位を築いており、障害者のスポーツ大国なしの大会となる。
 ロシア選手団に代わる出場枠の再配分も始まっている。日本にも3競技の4選手分が割り当てられた。参加する選手131人には、期待にこたえて大会を盛り上げてもらいたい。
 障害者スポーツの祭典であるパラリンピックは、第2次世界大戦後に戦争で傷ついた兵士のリハビリを目的に始まった。オリンピックに続く同都市での開催は、1960年のローマ大会以来、続いている。
 もともと平和的で福祉的な側面が強かった。近年は競技性が強まり、スポーツとしての意義が強調されている。走り幅跳びには、オリンピックへの同時出場は断念したものの、義足のドイツ人選手が登場し、好記録が期待されている。
 それでも、オリンピックに比べると、入場券の販売不振や民間企業の提供資金不足は深刻だ。東京大会でも必要な施設の規模を考えて、スポンサーの開拓やボランティアの確保策などを急ぐべきだ。

[京都新聞 2016年08月26日掲載]

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