社説 京都新聞トップへ

パラリンピック  スポーツの裾野広げて

 ブラジル・リオデジャネイロで7日午後(日本時間8日午前)、第15回パラリンピックが幕を開ける。約160カ国・地域と、リオ五輪と同様に難民選手チームを含めた4千人以上のアスリートが新種目のカヌーとトライアスロンを加えた22競技528種目でメダルを競い合う。南米では初めての開催となる。世界中に障害者スポーツを普及させるきっかけにしたい。
 資金難のため会場が変更され、ボランティアの辞退が相次ぐなどのトラブルもあったが、入場券販売も伸び、大会への関心は高まっているという。人間の能力の限界に挑む選手たちの活躍を楽しみ、障害者と健常者がともに生きる社会づくりのヒントにしたい。
 日本選手団は、132選手が17競技に出場する。前回ロンドン大会から倍増の金メダル10個を目標に掲げ、車いすテニスシングルスの国枝慎吾選手や上地結衣選手、陸上走り幅跳びの山本篤選手ら、有力選手に注目が集まる。
 京都、滋賀ゆかりの選手は、複数メダルの獲得が期待される競泳木村敬一選手や、初出場の競泳一ノ瀬メイ選手、夫婦で出場する柔道広瀬順子選手ら8人。地元からも熱い声援を送りたい。
 近年、障害者スポーツは、義足や車いすなど用具開発の高度化もあり、競技レベルが飛躍的に向上している。スポンサーと契約し、プロ選手として報酬を得る選手も出てきた。社会の関心を高め、スポーツの裾野を広げる意味では歓迎すべきことだ。
 一方で、五輪同様、国威発揚を狙ったメダル至上主義がドーピング問題などを引き起こし、今大会では、ロシア選手団が国ぐるみの不正のため参加が認められなかった。フェアに戦うという原点を見失っては元も子もあるまい。
 パラリンピックは、障害の有無を問わず、誰もがスポーツを楽しめるような環境を広げてきた。前大会のロンドンでは、障害者スポーツ施設の整備や公共施設のバリアフリー化が進んだという。
 だが、トップの選手でさえ、スポーツ施設の利用を断られたり、遠征費に苦労したりしているのも現実だ。日本では「障がい者スポーツ指導員」の育成も課題である。
 4年後の東京大会に向け、スポンサーの拡大やボランティアの育成など課題は山積している。リオ大会からしっかりと学びたい。
 競技用具の開発などで、日本の技術力を生かし、貢献することもできるだろう。障害者スポーツを支える裏方にも目を向けたい。

[京都新聞 2016年09月08日掲載]

バックナンバー