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蓮舫新代表  党再生へ手腕試される

 民進党の新代表に蓮舫氏が決まった。
 代表選を終始リードし、1回目の投票でポイント総数の過半数を占めて他の2候補を寄せ付けなかった。長引く党勢低迷に対する党員らの強い危機感が、蓮舫氏の持ち味である「発信力」への期待につながったと言えるだろう。
 野党第1党として安倍政権との対抗軸を明確にし、日本の将来像をしっかり描いてみせてほしい。
 ただ、全体的に盛り上がりに欠ける代表選だった。政策論議よりも、蓮舫氏の台湾籍問題に関心が集まったのは皮肉だ。外国籍をもつ人が国会議員になれない規定はないとはいえ、曖昧な記憶に基づき説明を二転三転させた本人と、チェックを怠った党の責任は重い。国民への十分な説明と真摯(しんし)な反省が必要だ。
 26日には臨時国会が召集される。憲法改正を目指す勢力が衆参両院の3分の2を占める状況下で、初めての与野党論戦の場である。新執行部人事をはじめ蓮舫氏は早急に態勢を整え、党再生への一歩を踏み出さねばならない。
 7月の参院選で敗れたのは、野党共闘を組んだこともあって民進の本来の路線がぼやけた印象を有権者に持たれたことが一因だった。改憲や安全保障などの重要分野で抱える党内の温度差を露呈させ、3月の旧維新の党との合流効果も限定的だった。
 旧民主党が政権を失ったのは、度重なる内部対立で国民の不信を招いたことが大きかった。野党共闘をこれからも続けるにせよ、しないにせよ、民進が自らの基軸を再確認して有権者に示せなければ、党勢回復は望めまい。
 前原誠司元外相は代表選候補としての遊説で、あえて自らを「戦犯」と称し、旧民主の失敗を繰り返さない決意を訴えた。思いを共有する議員、党員・サポーターは少なくないだろう。組織運営や意思決定のあり方を抜本的に見直せるか、蓮舫氏と新執行部の手腕が問われよう。
 代表の任期は3年だ。民進は2018年末までに行われる次期衆院選を、蓮舫氏の下で戦う公算が大きい。来月には衆院東京10区、福岡6区の補選が控える。
 歴代の自民党政権の中でも右寄りの安倍内閣を、消極的に支持しているという有権者は少なくない。中道、政権批判票の幅広い受け皿となる野党がなければ、民主主義は健全に機能しない。地方の声をより丁寧にすくい取る地道な努力も要る。

[京都新聞 2016年09月16日掲載]

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