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リオ・パラ閉幕  可能性と魅力を東京へ

 ブラジルで12日間繰り広げられたリオデジャネイロ・パラリンピックが閉幕した。先の五輪と同様、開会前には入場券の販売不振やロシアのドーピング問題の影響が取り沙汰されたが、160以上の国・地域から参加した約4300人の選手の熱戦が重苦しい空気を吹き飛ばした。
 障害者スポーツの魅力を、これまでパラリンピックを開催したことのなかった南米に一気に広めた大会だった。選手強化に加え、義足や車いすの技術進歩もめざましく、全22競技・528種目を通じて200以上の世界新記録が生まれた。
 日本はボッチャ、車いすラグビーなどで初のメダルを手にした。競泳では視覚障害クラスで、栗東市出身の木村敬一選手が日本選手団で最多の四つのメダルを獲得。柔道では花園大出身の広瀬順子選手(57キロ級)が3位で日本柔道女子初のメダリストとなるなど、京滋関係の選手の活躍も光った。選手を支える伴走者や競技パートナーの貢献も印象深かった。
 一方、メダル総数は銀、銅の計24個。数では前回ロンドン大会を上回ったが金はゼロに終わった。
 4年後の東京大会へ、多くの課題が積み上がった。日本は選手と指導者の発掘、育成システムの両面で外国勢に後れを取っている。メダルに届かなかった悔しさをばねに、各競技団体とスポーツ庁は一層奮起してもらいたい。有望選手の強化とともに、競技者の裾野を広げる施策も欠かせない。
 今大会を観戦して障害者スポーツならではの面白さ、見どころを知った人も多いだろう。例えば車いすラグビーには人と車いすが一体で激突する迫力、障害のレベルの異なる選手間の連携など、健常者ラグビーとは別の魅力がある。
 リオの競技会場にはボッチャやシッティングバレーなどの体験コーナーが各所に設けられ、多くの家族連れでにぎわったという。観戦の「感動」にとどまらず、選手の高度な技能を体感したり、関心を深めたりする機会を増やし、障害に対する理解を広げることが東京大会に向けても大切だろう。
 陸上男子1500メートル(視覚障害T13)では上位4人がリオ五輪の優勝タイムを上回り、注目を浴びた。男子走り幅跳びで金メダルを取った義足のレーム選手は「障害者でも健常者を超える時代が来たと証明できた」と語った。
 子どもたちが憧れるパラリンピアンが次々に生まれ、健常者との意識の壁が自然になくなるような共生社会を目指したい。

[京都新聞 2016年09月20日掲載]

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