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北朝鮮制裁決議  暴挙阻止へ実効性こそ

 新たな制裁決議がようやく採択された。国連安全保障理事会が北朝鮮による5回目の核実験を強く非難し、制裁強化を打ち出した。
 核・ミサイル開発を放棄させられるかは未知数ながら制裁履行を徹底し、国際社会が結束して包囲網を狭めたい。
 9月の核実験後、決議案交渉では最長となる約80日間を要して採決にこぎ着けたとはいえ、スピード感を欠いた。文案作成を主導した米国と、北朝鮮に影響力を持つ中国との協議が長引いたためだが、国際社会の強い決意が疑われかねない。
 制裁決議は2006年に北朝鮮が核実験を強行して以降、6度目となる。核・ミサイル開発関連物資の輸出入を禁止し、関与した個人・団体の海外渡航禁止や資産凍結などを段階的に強化してきたが、暴挙は止まらない。
 新決議は核・ミサイル開発の資金源を断つ狙いがある。北朝鮮の主要な外貨獲得源である石炭輸出に上限を設け、銅やニッケルも禁輸品目に加えた。年間輸出額約30億ドル(約3380億円)の約25%、約8億ドル分の減収を見込む。
 前回の制裁決議には「抜け穴」があった。北朝鮮産石炭の国際取引は原則禁止にもかかわらず「民生目的の場合は取引できる」との規定で実際には中国への輸出が続いていた。「抜け穴」を埋めれば打撃となるのは間違いない。
 ただ制裁は核開発の進展を妨げても、断念させる効果があるかは疑問符が付く。北朝鮮は核開発の完成度を高め、ミサイル発射も連続して成功し、核保有国として既成事実化を狙っているからだ。
 制裁が奏功するかは中国が鍵を握る。中国は過度な圧力が北朝鮮の混乱につながると懸念するが、生半可な対応では北朝鮮の態度は変わらない。「責任ある大国」としての役割が求められる。
 米国はトランプ政権に移行し、米朝関係は手探りの局面に入る。韓国の政治混乱もなお長引きそうだ。制裁決議が履行されれば北朝鮮の反発は必至で、予断を許さぬ北朝鮮への対応に日米韓の連携に齟齬(そご)があってはならない。
 日本にとって懸案の拉致問題を巡る交渉がさらに難しくなる恐れもある。厳しい状況には違いないが、一刻も早い解決に向けて対話の道筋を探らねばなるまい。
 新決議は08年から中断している北朝鮮核問題を扱う6カ国協議の再開支持も再確認した。北朝鮮に核・ミサイル放棄を迫るため、実効性ある圧力と対話の両面で関係国に一層の努力を求めたい。

[京都新聞 2016年12月02日掲載]

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