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朴氏の弾劾訴可決  混乱収拾へ早期辞任を

 朴槿恵(パククネ)大統領の親友による国政介入疑惑を巡り、韓国国会が朴氏の弾劾訴追案を可決した。
 朴氏は、弾劾を免れようと来年4月に退陣する意向を示したが、国民の強い怒りが与野党を動かし、ついに朴氏は職務停止に追い込まれた。大統領権限は黄教安(ファンギョアン)首相が代行する。
 今後、憲法裁判所が180日以内に朴氏を罷免するかどうか決める。野党側は即時辞任を求めているが、朴氏は抵抗する構えで、内外政の混乱の長期化が懸念される。もはや朴氏への国民の信用は地に落ちており、辞意表明で語った「混乱と空白の最小化」が本心であるなら、朴氏自ら一刻も早く辞任すべきだろう。
 弾劾案の採決では、提案した野党3党に加え、与党セヌリ党から非主流派にとどまらず約半数の議員が同調し、必要な定数の3分の2を大きく上回る賛成多数で可決された。背中を押したのは厳しさを増す世論の圧力だ。
 直前の世論調査でも弾劾賛成は8割超と圧倒的で、退陣要求デモは大規模化し続けている。野党側は弾劾否決なら全員辞職で総選挙に持ち込むと迫り、朴氏とともに支持率低迷に悩む与党議員も弾劾やむなしに雪崩を打った形だ。
 だが、朴氏は憲法裁での逆転に望みを残し、辞任の道筋は見えていない。憲法裁の裁判官は全て保守系2代の政権で指名されており、朴氏に有利との見方もある。民主化後初めて2004年に弾劾訴追を受けた盧武鉉(ノムヒョン)大統領は、総選挙での与党勝利後に憲法裁が棄却し、復帰を果たしている。
 国会が設置を決めた特別検察官による疑惑解明の成否も不透明だ。国会聴聞会では、朴氏と親友の崔順実(チェスンシル)被告が共謀して資金拠出を求めたとされる大企業トップが口をそろえて賄賂性を否定した。憲法裁審査や捜査に時間がかかる分、朴氏にとって命運がつながるとの計算もあろうが、その間の政治的空白の損失は計り知れない。
 国政の早期正常化に向けて与野党の責任は重い。与党が描いてきた4月退陣論は、次期大統領選までの時間かせぎと指摘されている。今春の総選挙で躍進した第2野党「国民の党」なども第三極の結集に向けた政界再編をにらんでいるが、各党の思惑で国政の混乱が長引くのは避けねばならない。
 東アジアの安定に向けた日中韓首脳会談の年内開催も見送りの方向で、外交にも影を落としている。国民に渦巻く政治不信の払拭(ふっしょく)に向け、速やかに新しい大統領を選ぶ手続きに踏み出すことが必要だ。

[京都新聞 2016年12月10日掲載]

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