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北陸新幹線  京都経由は歓迎するが

 北陸新幹線が敦賀から新大阪まで「小浜京都ルート」で延伸されることが確実になった。関西から若狭、北陸方面へのアクセスが飛躍的に向上し、京都にとっても経済や観光にプラスになるだろう。
 与党の検討委員会が報告をまとめた。整備新幹線建設推進プロジェクトチームが20日に正式決定する。
 未着工となっている敦賀以西については米原、舞鶴、小浜京都の3ルート案が比較対象となっていた。結果的に、運行主体のJR西日本が提案し、北陸3県が支持した小浜京都ルートが、大阪までの所要時間が最も短く、運賃も安いことなどが評価されて選ばれた。自然な判断と言えよう。
 滋賀県が求めた米原ルートは建設費が安く、工期も短くて済むことから関西広域連合がいったんは支持するなど有力とみられた。しかし、東海道新幹線との乗り換えがネックとなり、広域連合の方針転換も痛手となった。
 京都府が訴えた舞鶴ルートは、山陰方面への延伸も視野に、地方創生や日本海側の発展といった意義を打ち出した。共感はできる。だが、大きな建設費や遠回りとなるデメリットを覆せなかった。
 残る京都-新大阪間を北回りとするか、南回りとするかはなお未決着だ。与党検討委は年度内に結論を出す方針だが、「我田引鉄」と揶揄(やゆ)されないよう合理的で説得力のある議論を求めたい。
 延伸実現までには数多くの課題がある。ひとつはJR湖西線の扱いだ。「並行在来線」と見なされれば延伸開業時にJR西日本から経営分離され、地元自治体に負担がのしかかる恐れがある。通勤や通学などに利用する県民は多く、生活路線として守る必要がある。
 もうひとつは2兆円と見込まれる建設費の地方負担だ。「建設費の3分の1」という従来の原則を当てはめれば、ルートの30%が府域を通過することから、府の負担額が膨大になりかねない。府民の理解を得られるよう、理にかなった負担のあり方について国や京都市などとも率直に協議すべきだ。
 ルート上には芦生原生林を含む京都丹波高原国定公園があり、自然保護との両立は前提条件だ。京都市街地の地下工事には万全の環境・安全対策が要求される。
 東京一極集中の是正という観点からも関西を起点とした新幹線網の展開を歓迎する。ただ、採算性をいま一度厳しく査定し、課題を丁寧にクリアしていくことが肝心だ。せっかくの延伸が将来にツケや禍根を残さぬように。

[京都新聞 2016年12月15日掲載]

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