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太陽光の価格  導入意欲を誘う設定に

 消費者にとって電気は安いほうがありがたい。しかし、そのために価格競争力の弱い再生可能エネルギーを買いたたけば、導入は進まなくなる。
 東京商工リサーチによると、太陽光発電に取り組む発電事業者の昨年の倒産数は65件で、一昨年を11件上回り、過去最多となった。資金や運営ノウハウが不足したまま、ブームに乗って参入した業者が行き詰まるのは必然ではある。
 問題は、再生可能エネルギー事業への新規参入も減少していることだ。電力の固定価格買い取り制度(FIT)の導入を追い風に、新規参入は2011年の70社から14年には3288社に急増したが、15年は2189社に減少した。同リサーチ社は「太陽光バブルは終わった。事業者の淘汰(とうた)はしばらく続く」とみている。
 FITは地球温暖化防止に向けて太陽光や風力、バイオマスなどの発電量を増やそうと12年に導入された。10~20年の期間、発電した電力を定額で買い取ることを電力会社に義務づける。
 当初は住宅用太陽光の電力は1キロワット時あたり42円、事業者は40円という発電側に有利な価格とあって、自宅の屋根に設置する人や、遊休地に発電所を設ける新規事業者が増えた。ところが、価格は年々下がり、本年度は住宅で31円、事業者で24円。引き下げを図る経済産業省は4月から「入札制度」を導入し、3年後には24円と19円まで下げる方針だ。
 経産省は、太陽光パネルが安くなり、発電効率も改善していることを値下げの理由とする。高い買い取り価格は結局、電気料金に上乗せされて消費者の負担になることは確かだ。ただ、太陽光の冷遇にかじを切った背景には、原発の運転停止で経営改善を図りたい電力会社や、より安価な電力を求める産業界への配慮がにじむ。
 日本は温暖化防止を目指すパリ協定で、温室効果ガスの排出量を30年までに13年比で26%減らすとしているが、日本の発電量に占める再生可能エネルギー(大規模水力を除く)の割合はようやく7%を超えた程度。太陽光以外の風力、地熱、小水力、バイオマス発電などはあまり増えていない。
 家庭でも取り組める太陽光発電は最も身近な再生可能エネルギーだ。環境意識を高める教育効果もある。その導入にブレーキをかければ目標達成は遠のくばかりか、かつての「原発頼み」に逆戻りする恐れがある。導入意欲をかきたてるような価格設定こそ必要だ。

[京都新聞 2017年01月14日掲載]

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