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阪神大震災22年  防災減災対策の共有を

 6千人以上が亡くなり、約25万棟もの住宅が全半壊した阪神大震災から22年を迎えた。内陸活断層による直下型地震で戦後有数の都市災害となった阪神大震災は、日本の防災、減災の在り方を見直すきっかけになった。
 国内では地震のみならず、台風などによる風水害や火山災害など過酷な自然災害が毎年のように発生している。生命、財産を守る備えや、いざという時に助け合える態勢は不可欠だ。災害の経験を記録、継承し、常に課題を見直して、災害対策を共有の財産にする努力が求められる。
 阪神大震災では、被災者支援のために各地からボランティアが駆け付けた。その後、東日本大震災をはじめとする全国の被災地で、復旧、復興に欠かせない存在になっている。支援の体験は蓄積されて、災害時に自律的に活動できるボランティアが増えている。
 自治体間の応援態勢も整ってきた。ただ、昨年の熊本地震では応援を受け入れる側の態勢が不十分で、うまく連携できないケースもあった。神戸市は他県からの応援を円滑に受け入れるため、窓口を一本化する受援計画を立てている。震災を経験した自治体の先進的取り組みを全国に広げたい。
 熊本地震では、拠点となる庁舎が損壊して使えない自治体があった。消防庁によると、全国の自治体庁舎は出先機関を含めて8499あるが、耐震化率は78・8%にとどまる。政府は2017年度に建て替え促進策を導入する。迅速に進めねばならない。
 災害時に行政機能を維持するための「業務継続計画(BCP)」の整備にも課題は多い。総務省によると、全国1741市区町村のうちBCPがあるのは41・9%にすぎない。しかも、昨年の鳥取地震では策定していた自治体でも庁舎の代替施設が使えなかったり、職員が不足したりと想定外の問題が起きた。現実に即してBCPを不断に見直すことが必要だ。
 被災地復興の在り方は模索が続く。阪神大震災では災害に強いまちづくりが進んだ一方、元の住民が戻れなくなり、コミュニティーが失われた地区もある。東日本大震災では、人口流出のため集団移転計画の縮小を迫られる自治体もある。高齢化や人口減少が進む中でのまちづくりが問われている。
 子どもたちへの防災教育にも着目したい。小中学校の教科の一つに採用するよう提案する専門家がいる。防災、減災を引き継ぐべき文化として育てていきたい。

[京都新聞 2017年01月17日掲載]

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