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再生エネ戦略  脱炭素社会へ導入促せ

 環境省は地熱や風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーを2030年に大量に導入するため、長期戦略を策定する。今後、国のエネルギー基本計画の見直しや予算編成に反映させる。
 日本は世界の温室効果ガス排出量の3・8%を占め、国別では第5位の大排出国だ。地球温暖化防止のための枠組み「パリ協定」に基づき、日本は30年の排出量を13年比で26%減らす目標を掲げ、50年には80%削減を目指している。
 達成するには温暖化の原因となる二酸化炭素を出す石炭や石油など化石燃料の使用を減らし、原発のように放射性廃棄物を発生させない再生可能エネルギーを大きく伸ばすしかない。「脱炭素社会」に向けて速やかな導入を促す戦略を練ってもらいたい。
 環境省によると、現在、大型水力発電を含めた再生可能エネルギーが電力供給に占める比率は12%強。目標では30年に22~24%に引き上げるとしている。
 これに対し、デンマークはすでに電力の55%、ドイツやイタリアは33%を再生可能エネルギーが占めており、日本の出遅れは明らかだ。
 風力発電の開発が日本では思うように進まず、優遇制度の見直しなどで太陽光発電の減速も予想されている。電力供給を安定させるための費用がかかり、開発に伴う環境アセスメントなどの手続きに長い時間がかかるといった課題もある。
 環境省は事務次官をトップに省内チームをつくり、来年春までに「再生可能エネルギーの活用による二酸化炭素削減戦略」の第1弾をまとめる。潜在能力が大きい地熱や洋上風力、バイオマス発電の最大限の活用をはじめ、太陽光など自家発電、自家消費の促進が中心になるとみられる。
 国立公園や野生生物のデータに基づき、地熱や風力発電の開発を認める地域と規制エリアを分ける「ゾーニング」も検討するという。普及を阻む要因を洗い出し、有効な対策を打ち出してほしい。
 エネルギー政策を所管する経済産業省は経済活動への影響を考慮し、再生可能エネルギーの大幅拡大に慎重な姿勢を崩していない。
 安倍政権は、再生可能エネルギー普及に向けてリーダーシップを発揮すべきだ。トランプ米大統領が温暖化の規制を見直す大統領令に署名し、世界的な対策の後退が懸念されているが、日本政府は手を緩めることなく着実に取り組みを進める必要がある。

[京都新聞 2017年04月24日掲載]

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