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水産白書  資源管理の徹底不可欠

 政府が公表した2016年度版の水産白書によると、15年の漁業・養殖業の国内生産量は469万トンで前年より約2%減った。ピークだった1984年の3分の1近くにまで落ち込んでいる。
 過剰な漁獲によって不漁となっている魚種について、政府は国内外での資源管理に一層力を入れる必要がある。
 白書では国内生産量が減少した主な原因として、「爆弾低気圧」によるホタテの被害や、海流の変化に伴うサンマの不漁を挙げた。
 さらに、日本の排他的経済水域(EEZ)に隣接する公海で近年、外国漁船の操業が急増していると指摘した。中国や台湾の漁船による北太平洋でのサンマの大量漁獲に懸念を示し、中西部太平洋でのカツオ漁獲の増加が日本近海への来遊減少を招いた可能性にも触れている。
 世界の1人当たり魚介類消費量は過去半世紀で2倍に伸びた。中国は8倍、インドネシアは3倍に膨らんでいる。アジアの増大する需要を満たすため、東シナ海や日本海でも外国漁船による乱獲が心配されるという。
 カツオ資源が現状以上に減少すれば、刺し身やたたきといったメニューが食卓から遠のくばかりではなく、京料理をはじめとする和食で、だしをとるために欠かせないかつお節の生産にも影響する。日本の食文化全体にかかわる事態といえよう。
 日本、中国、韓国、台湾、ロシア、カナダの6カ国・地域による北太平洋漁業委員会(NPFC)はこれまでに、サンマやマサバについて漁獲する漁船を急増させないことなどで合意しているが、さらに対策を強化すべきだ。
 日本政府は詳細な調査と科学的根拠に基づき、持続的な利用が可能となるよう、資源の保護を主導していかなければならない。
 白書は国内の水産物消費の動向についても分析している。
 15年度の食用魚介類の1人当たり消費量は前年度比0・8キロ減の25・8キロで、ピークだった01年度のほぼ3分の2に減少している。とくに年齢別では40代以下の摂取量が50代以上に比べて少ない傾向が続いている。
 漁獲量がさらに落ち込んで魚介類の価格が上昇すれば、若年層を中心にさらなる「魚離れ」が進むことも懸念される。政府は漁業者だけでなく、消費者や流通業者を巻き込み、水産資源の回復と魚食文化の再生に取り組んでもらいたい。

[京都新聞 2017年06月26日掲載]

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