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希望の党  改革保守の中身見えず

 東京都の小池百合子知事が、自らを代表とする国政新党「希望の党」を立ち上げ、党綱領を発表した。「寛容な改革保守政党」を名乗り、10月の衆院選に向けて全国規模で候補者の擁立を目指すという。
 小池氏は「日本をリセットするため」「あくまでも都知事としてこの戦いに臨む」と述べたが、自身が前面に立つことで都政と国政にどんな相乗効果をもたらすのか、具体的には語らなかった。仮に勝利したとしても首相にならない人が政党を率い、政権選択の選挙を戦うというのも違和感がある。
 「1強」のおごりの目立つ安倍政権に対する有権者の不満を、既成政党が受け皿として十分すくい取れていないのは確かだ。新党が公示日に向けて小選挙区、比例代表ブロックにどれだけの公認候補を立てるか流動的だが、7月の都議選の時に小池氏がみせた突破力、発信力に人々の期待があるのは理解できる。
 ただ、水面下で準備を進めていたにせよ、「寛容な改革保守」の中身は抽象的で、政策も急ごしらえの感が否めない。先週、新党メンバーの若狭勝衆院議員らが掲げた「国会の一院制への移行」は後ろに退き、前面に「原発ゼロ」「消費増税の凍結」などを据えて政権与党との違いを打ち出したいようだが、政策全体の整合性や、目指す国家像ははっきりしない。
 結党メンバーの国会議員の出身政党にも幅がある。民進、自民、さらに保守色の強い日本維新の会や日本のこころなども加わる。民進との合流、野党再編を視野に入れた動きも加速している。
 いずれにしても小池氏の「参戦」をきっかけにして、選挙の構図は大きく変わり始めた。そうであればなおのこと、小池氏は有権者受けする公約だけでなく、財政再建や外交・安全保障、憲法改正を含む数々の重要課題について、党のスタンスをもっと明確に語る必要がある。
 他方、都政においては東京五輪や築地・豊洲市場をめぐって懸案が山積みの中、小池氏の「二足のわらじ」を批判する声が都議会などから上がっている。
 唐突に党代表になった小池氏は、知事との兼任について都民にほとんど説明していない。兼任の先例には、日本維新の会代表を務めた橋下徹前大阪市長ら数人があるが、多くが長続きすることなく終わっている。どのように両立させるのか、小池氏は十分説明する責任がある。

[京都新聞 2017年09月28日掲載]

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