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京都市の宿泊税  使途と成果が問われる

 京都市の宿泊税条例が市議会で可決され、成立した。市は、総務相の同意を得た上で来年10月ごろの導入を予定している。
 京都の魅力を高めるために必要な事業費の負担を観光客にも求めるのが狙いだ。市は新たな税収を有効に活用し、市民や観光客、宿泊業界が実感できる具体的な成果を示してほしい。
 京都市が新税を導入するのは、1985年の古都税以来33年ぶりとなる。年間の宿泊税収見込みは45億円で、軽自動車税の3倍、市たばこ税の半分に相当する。厳しい予算編成が続く市の財政にとっては、貴重な財源となりそうだ。
 宿泊税は、2000年施行の地方分権整備法で自治体に認められた法定外目的税で、条例制定は東京都、大阪府に続く3番目となる。地方が独自に定めることができる分、使途にも責任を持つ必要がある。
 京都市は、市民や観光客が京都の品格や魅力を実感できるようにする取り組み、観光客の受け入れ環境整備、国内外への情報発信強化の3点を主な使途に挙げている。観光が地域にもたらす経済効果は大きいが、近年の観光客の急増は公共交通機関の混雑や渋滞を招くなどマイナスの影響も広げている。市民負担の軽減へ、市民の合意を得ながら具体的な使途を決めていくべきだ。
 特に「違法民泊」の問題は深刻で、周辺住民の生活を脅かしている。課税の公平性を担保するためにも、条例施行後は実態の把握や指導の強化が一段と重要になるだろう。市内の違法民泊の利用者は年110万人に上る。宿泊税の取りこぼしは許されない。
 税額は、1泊料金2万円未満が200円、2万円以上5万円未満が500円、5万円以上が1千円の3区分とした。旅館業界の要望を受け、修学旅行生には課税しないが、それ以外はすべての宿泊客を含める。市によると、税額200円の宿泊客が94%を占める見込みだが、観光客や宿泊業界へのしわ寄せを軽視してはならない。
 中でもホステルやゲストハウスなどの簡易宿所からは懸念の声が上がっている。宿泊税は宿泊料が安いほど負担感が大きくなる構造だけに、業界の不安も理解できる。市議会は付帯決議で導入から1年半後の検証を求めた。好調な京都観光に水を差さないようにするためにも、市は導入後も宿泊客や宿泊業界の動向や税収の状況などを調べ、必要があれば柔軟に見直すべきだろう。

[京都新聞 2017年11月27日掲載]

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