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日馬暴行問題  横綱の品格も問われる

 大相撲九州場所の閉幕を受けて、横綱日馬富士関の暴行問題に関する日本相撲協会の調査が、本格化することになった。
 きのう開かれた諮問機関・横綱審議委員会(横審)は、判断を持ち越した。
 しかし協会は、事実関係を確認し、真相を解明したうえで、適切な処分を下さねばならない。
 日馬富士関は先月下旬、巡業先の鳥取県内であった酒席で、平幕貴ノ岩関を殴打し、負傷させたとされる。貴ノ岩関の師匠貴乃花親方が鳥取県警に被害届を提出し、捜査はすでに始まっている。
 事情聴取に対して日馬富士関は殴打したことを認めており、県警は年内にも、傷害容疑で書類送検する方針という。
 こうした場合、一般社会では厳しい処分が下される。日馬富士関も受け入れる必要がある。また、力士の模範を示すべき横綱を務め、ふさわしい品格が求められている。不祥事を起こした責任は、さらに重くなるのではないか。
 処分内容を決める協会は、危機管理委員会において、調査を進めている。ところが、当事者のうち日馬富士関の事情聴取はできたが、相手の貴ノ岩関からは、まだ何も聴けていない状況だ。
 協会の協力要請に、貴乃花親方が応じていない。県警の捜査結果を、待っているのかもしれない。「貴ノ岩関の状態がよくない」と説明しているそうだ。
 だが本来なら、事実を明らかにするため、協会の要請に応えるべきだ。そう考えるファンも、少なくあるまい。
 九州場所が終わり、県警、危機管理委員会とも、酒席に同席した横綱白鵬関らから、当時の状況を聴く予定だ。
 当初、ビール瓶で殴ったとの証言もあったが、その後、日馬富士関らは否定した。事実の確定があって、処分を判断できる。注意深く、慎重に見定めてほしい。
 協会の処分に向けて横審は、注意や引退勧告等を行う。同様に暴行問題を起こした元横綱朝青龍関は、勧告を受けて引退した。
 横審には、常識に沿った妥当な判断を求めたい。
 この問題で九州場所の千秋楽、協会の八角理事長は異例の謝罪をした。一方で、白鵬関は優勝インタビューで「うみを出し切って」といいながら、「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げたい」と復帰に触れた。事実確認や横審の議論が終わっていない段階では、不適切な発言ではないか。

[京都新聞 2017年11月28日掲載]

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