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京都議定書20年  未来に負う責任新たに

 徹夜の議論の末、なんとか合意にこぎつけた。
 1997年12月11日、国立京都国際会館で採択された京都議定書である。地球温暖化防止に向けて世界が歩みだす出発点となった。
 記憶に刻むだけでなく、地球を未来世代に引き継ぐ責任と決意を新たにしたい。
 京都議定書は多くの難題に直面していた。先進国と途上国の主張の隔たりは大きく、温室効果ガスの削減は先進国だけの約束となった。しかし、京都で議論の種はまかれた。その後、温暖化への危機感の共有が進み、途上国への支援のあり方など、会合を重ねる中で議論を深めた。
 昨年ようやく、途上国を含め世界各国が目標を掲げて温室効果ガス削減に取り組む「パリ協定」につながった。いまや温暖化防止は大きな国際潮流である。
 京都議定書の意義は、温室ガス削減をスローガンで終わらせず、数値目標と順守の仕組みを設けたところにあろう。パリ協定は新たなルールをどう作るか。来年に向けての大きな課題だ。
 トランプ米大統領がパリ協定離脱を表明したが、これに追随する国は現れていない。米国にしても、多くの州や大企業はパリ協定に賛同を表明し、温室ガス削減に積極的に取り組んでいる。
 京都議定書が議論された当時は、経済への打撃を懸念する声が大きかったが、世界は変わってきている。再生可能エネルギーに巨額投資がなされ、中国や欧州では電気自動車の開発を急いでいる。石炭関連事業には投融資を引き揚げる「ダイベストメント」が海外の金融機関で進む。
 日本はどうか。福島第1原発事故後、石炭火力発電の新増設に走りだしている。環境相は慎重姿勢だが、安倍晋三政権の推進政策は変わらない。世界の「脱石炭」の流れにまったく逆行している。
 京都議定書は先進国で一定の成果を示せたが、地球全体では温暖化が進んでいる。世界気象機関(WMO)によると、世界の平均気温は今年、観測史上最高だった昨年に次いで高くなる見通しだ。パリ協定は、気温上昇を産業革命前より2度未満にする目標だが、すでに半分以上も進行している。
 京都議定書の採択で忘れてならないことがある。NGO(非政府組織)の参加である。各国に働きかける行動は、その後の会合でさらに力強くなっている。
 温暖化を止めるために、市民にできることがある。これも京都議定書のメッセージといえる。

[京都新聞 2017年12月16日掲載]

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