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民泊規制条例  制定自治体が増えそう

 住環境の悪化を恐れる地域が少なからず存在する、ということなのだろう。
 一般住宅に有料で旅行者らを泊める「民泊」について、基本的なルールを定めた「住宅宿泊事業法」が6月に施行されるのを前に、観光庁が法に上乗せする規制条例の有無を自治体に尋ねたところ、約35%が制定したか、制定を予定していることが分かった。
 いずれも、「深夜に騒音がする」「ごみ捨てのルールが守られない」といった市民生活への悪影響を、心配しているとみられる。
 政府は、増え続ける外国人旅行者の宿泊の受け皿として、民泊に期待している。だが、各地域の事情に配慮していくことが、一層求められる。
 調査は、条例制定が認められた都道府県や政令指定都市など150の自治体を対象に行われた。すると、京都府、滋賀県、京都市を含む52の自治体、全体の約35%が、民泊を営業できる区域や期間を規制する条例をすでに定めたか、検討していた。
 東京都大田区や兵庫県など5自治体は、住居専用地域での営業を通年で禁止する予定だ。同地域では京都市も、町家を活用する場合を除いて、観光の閑散期に限定する。各自治体とも、閑静な住宅街を維持していきたい、とする意思を明確にしている。
 民泊に理解を示す自治体もある。しかし調査対象のうち、24の自治体は「対応を検討中」とした。規制の輪は広がりそうだ。
 分譲マンションの管理会社でつくる協会が行った別の調査では、業務を受託した管理組合の8割以上が、民泊を禁止する方針を決議していた。住民の思いも、同様だといえよう。
 こうした動きに対して政府は昨年暮れ、自治体が条例を定め、年間を通して民泊を禁じるのは、不適切だとするガイドラインを公表した。わざわざ法を施行して、民泊に関して規制緩和するのに、その趣旨を逸脱している、というのだ。条例の見直しも期待しているようである。
 政府は、2020年に外国人旅行者を4千万人とする目標を達成するため、宿泊場所を増やさねばならないと考えているのだろうが、国民の住環境を悪化させてまで取り組む必要があるのだろうか。
 「旅館を営業できない地域で民泊が許されるのはいかがか」(井戸敏三兵庫県知事)といった声もよく聞いて、地域と折り合いをつけてもらいたい。

[京都新聞 2018年03月03日掲載]

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