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南北首脳会談へ  不透明な非核化への道

 真意はどこにあるのだろうか。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が4月末に会談することで合意した。
 北朝鮮は、非核化問題と米朝関係正常化のため米国と対話する用意があるとし、対話が続く間は核・ミサイル実験を凍結するとも表明した。4月の米韓合同軍事演習にも一定の理解を示した。
 核・ミサイルで強硬な態度をとってきた北朝鮮だけに、今回の融和姿勢は予想以上の「譲歩」にみえる。北朝鮮に融和的な文政権を仲介役にして米国との対話を円滑に進めたいとの思惑が透ける。
 ただ、非核化の条件に体制の保証を掲げており、非核化を前提とする米国と相いれるかどうかは不透明だ。交渉のテーブルに着くまでには曲折が予想される。
 金委員長は1月の「新年の辞」で、核弾頭と弾道ミサイルの量産に言及する一方、2月には平昌冬季五輪へ妹の金与正党第1副部長を派遣し、文大統領の訪朝を促すなど対話姿勢を強めていた。
 背景として、度重なる国連の制裁で経済的に疲弊し、局面転換せざるを得なくなったとの見方がある。経済の後ろ盾ともいえる中国との貿易額は1月に前年同月比で50%余り減少し、ガソリン価格も高止まりしているといわれる。
 その意味で、制裁には一定の効果があったといえる。裏返せば、制裁を緩めた場合、北朝鮮の態度が元に戻る懸念もある。
 それだけに、交渉を進めるなら、非核化への確実な担保を得る必要がある。米国の役割は重大だ。
 トランプ政権内には、歴代米政権の北朝鮮との対話が結果的に核開発の時間稼ぎに使われたとの不満がくすぶっている。
 トランプ大統領は対話に応じるかどうかは明言を避けたが、「必要ならどの道も進む用意がある」とも述べている。
 金委員長と平壌で会談した韓国の特使団トップは8日に訪米し、北朝鮮との合意内容を説明するという。米政府は日韓両国と協議したうえで対応を決めるとみられるが、米韓主導で対話が進展する可能性も否定できない。
 北朝鮮への「最大限の圧力」を方針としてきた日本にとっては、仮に米国が無条件に対話に応じれば、はしごを外されることにもなりかねない。米朝対話が進展した場合は、身動きが取れなくなる恐れもある。
 北朝鮮の動きは予測が難しい。日米韓の連携を密にして、あらゆる事態に備えることが重要だ。

[京都新聞 2018年03月08日掲載]

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