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平昌パラ閉幕  強化へ、選手層を厚く

 韓国・平昌冬季パラリンピックが、6競技80種目の熱戦を終えて閉幕した。日本選手団は金3個を含む10個のメダルを獲得し、前回ソチ大会の6個を上回るという目標をクリアした。
 5個のメダルをかけたアルペンスキーの村岡桃佳選手(21)が帰国会見で「首が取れてしまうんではないかという重さ」と喜びを語ったのが印象的だった。2個を獲得したスノーボードの成田緑夢選手(24)とともに、20代の新星誕生は日本の障害者スポーツの未来をひらく大きな成果だろう。
 限界に挑む一人一人の選手の姿が、深い感動を生んだ。同時に、競技力向上の面では課題も浮き彫りになった。
 海外勢では10代の活躍が目立った一方、日本勢は全38選手の多くが30代以上だ。今大会の4人のメダリストのうち、ノルディックスキーの新田佳浩選手、アルペンスキーの森井大輝選手はともに37歳。パラアイスホッケーのメンバーは平均年齢41・9歳だ。ベテランの活躍は心強いが、いつまでも頼り続けるわけにはいかない。世界と戦うために、世代交代が必要なことは、当の選手たちが誰よりも感じている。
 大会への注目度が高まり、競技に関心を持つ若者は増えている。ただ現実には、さまざまな理由で参加を諦めている人が少なくないのではないか。
 「やってみたい」という思いを支援したり、才能を発掘したりして、選手層を厚くしたい。2020年夏の東京大会、22年冬の北京大会に向け、関係団体とスポーツ庁の取り組みに期待したい。
 課題として指摘されるのが、日常的な練習場所と指導者の不足だ。東京には今年、新たにパラスポーツ専用の体育館がオープンするが、全国にはバリアフリーで競技用の特殊な装具を使える施設はまだまだ少ない。装具や、介助者にかかる費用の問題もある。
 各種の助成や基金を通じ、市民の支え手を増やしたい。併せて、障害者の働く場も広げたい。来月から障害者の法定雇用率が現行の2・0%から2・2%へ引き上げられる。安定した収入で競技力を高められる環境づくりに、企業も貢献できる機会と捉えたい。
 学校との連携もカギになるだろう。諸外国に比べて、日本は障害のある子どものスポーツ教育に必ずしも熱心でないと言われる。メダリストや有力選手の訪問を通じて体を動かす楽しさを伝えるなど、地道な取り組みが必要だろう。

[京都新聞 2018年03月21日掲載]

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