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消費増税対策  財政出動するというが

 政府が毎年6月に閣議決定する経済財政運営の「骨太方針」の骨子案が、明らかになった。
 焦点は、来年10月に予定される消費税増税が日本経済に及ぼす影響を、いかに最小限に抑えるか、であろう。異を唱える向きは、あるまい。
 これに関連して安倍晋三首相は、増税を実施する場合の景気対策として「19、20年度と相当思い切った財政出動をする」と述べた。当然、骨太方針に反映される。
 またもや、歳出の拡大で難所を乗り越えようというのである。財政再建が遠のくのは必至で、何のための増税か、分からなくなる事態が起きかねない。
 今回の骨子案には、今後の取り組みに「消費税率引き上げと需要変動の平準化」が挙げられた。
 前回2014年4月の引き上げ時は、消費が冷え込み、デフレ脱却に水を差す格好になったのを反省し、痛税感をできるだけ抑えようと考えているのだろう。
 20年の東京五輪開催後には、景気の悪化も予想される。財政出動をスムーズに行えるような環境を今から整えておきたい、との気持ちは理解できる。
 経済状況に応じて機動的に対処するため、景気対策の経費は、年度途中に編成する補正予算ではなく、当初予算に上乗せすることが検討されている。
 すると来年度予算は、一般会計総額が過去最大の97兆円余りに膨らんだ本年度当初予算を大きく上回り、初めて100兆円を突破してしまう。
 政策としては、住宅ローンや自動車購入時の減税などが取り沙汰されている。予算の増額が既定の方針となっては、歳出圧力は強まる一方ではないか。
 骨太方針には、新たな財政健全化計画も盛り込まれることになっている。
 これまで目標とし、国際公約でもあった国と地方の基礎的財政収支の20年度黒字化は、5年後に先送りする。
 基礎的財政収支や、累積した借金の総額である「債務残高」などの指標で、国内総生産(GDP)比の数値目標を設定し、21年度に中間評価するともいう。
 しかし、これらは、政府の掲げる名目3%以上の経済成長が実現すれば、容易に達成できる水準だとの指摘がある。
 歳出の抑制に向けた意欲が、ほとんど感じられない。財政出動に頼るだけで、適切な経済財政運営はできるのだろうか。

[京都新聞 2018年05月30日掲載]

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