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部活動指導員  役割と位置付け明確に

 多忙な教員の負担軽減だけを目的にするなら、中途半端な存在になってしまいかねない。
 文部科学省が、全国の公立中学校に配置する「部活動指導員」を大幅に増員する方針を決めた。
 来年度政府予算の概算要求に1万2千人を配置する経費13億円を盛り込むという。本年度予算の5億円(4500人)の倍以上だ。
 部活動指導員は、昨年度の学校教育法施行規則改正で学校職員に位置づけられた。クラブの顧問を務めることや、大会など校外への引率もできるようになった。
 外部の指導員を学校に迎えることは、クラブ活動の運営や指導に新たな視点を提供してくれることだろう。指導員の増員を「教員の働き方改革」にとどまらせず、クラブ活動のあり方を考え直す契機とするような工夫を求めたい。
 中教審特別部会は昨年12月、教員の長時間労働の一因になっているクラブ活動の指導について「必ずしも教員が担う必要はない」とする中間報告を出した。
 それをふまえるように、京滋を含めた各地の学校で指導員が活動を始めている。配置された学校では、顧問教諭の時間外勤務が短縮されるなどの効果がみられ、歓迎する声が少なくないという。
 とはいえ、指導員の立場は微妙だ。想定されている職務は、試合などの引率のほか、用具・施設の管理、保護者への連絡、指導計画の作成など幅広い。定期的に研修を受ける必要もある。
 その一方で、待遇は良いとはいえない。京都市の場合、給与は高くても月5万円半ば程度で、指導員だけでは生活できない。放課後の時間帯に学校に来る勤務形態のため、学校の非常勤講師が務める事例が多いといい、将来のなり手不足が懸念されている。
 教員の補助者なのか、クラブ運営の責任者か、位置づけもあいまいだ。今のままでは、学校の下請け役になってしまいかねない。
 大幅増員に合わせ、指導員の役割をもっと明確にする必要があるのではないか。
 学校のクラブ活動を巡っては、行き過ぎた練習や、生徒数の減少で学校単位の活動が難しくなるなどの問題が指摘されている。将来的には学校や学年の枠を超えた地域主体のクラブに移行するなど、多様なあり方が議論されている。
 部活動指導員の存在も、そうした長期的な議論の中に位置づけてはどうだろうか。競技の指導にたけた人材は、きっと大きな存在感を示してくれるに違いない。

[京都新聞 2018年08月25日掲載]

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