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携帯電話料金  見直しは利用者第一で

 利用者第一の視点で論議すべきではないか。
 野田聖子総務相は、携帯電話やインターネットに関する規制や政策を包括的に見直すよう、情報通信審議会に諮問した。
 格安スマートフォンを含めた携帯電話市場の競争を促し、値下げなど利便性の向上を図ろうという狙いがある。
 審議会は来年12月に最終答申をまとめる予定だ。それを受け、総務省は電気通信事業法の改正を検討することにしている。
 総務省はこれまで格安スマホ事業者の市場参入を後押ししてきたが、そのシェアは約1割という。
 要因は、NTTドコモなど大手3社が市場の9割を占め、価格競争が起きにくいことにある。
 日本の携帯電話は3社の寡占で外国に比べ、料金が高止まりしたままとされる。総務省は2015年に引き下げを求め、各社は割安プランを導入したが、業界全体では大きな値下げに至っていない。
 携帯電話は今や1人1台超の時代となり、生活に欠かせない機器だ。ただスマホの急速な普及で家計負担は増している。総務省の調査では昨年の世帯当たりの通信料は年10万円を初めて超えた。
 菅義偉官房長官が先ごろ、「4割程度下げる余地がある」と発言したことで、政府として大幅な値下げを促す可能性も指摘される。
 とはいえ通信料金は自由化されており、政府に強制力はない。
 大手3社は値下げに消極的だ。
 毎年、基地局の維持などに数千億円の設備投資をしており、今後は次世代通信規格「5G」への投資も控える。
 だが各社とも高い利益を上げているのは確かで、利用者にもっと還元できないか改めて検討すべきだ。別々に行っているインフラ整備の共同化などで投資を抑えれば値下げに回す余地もあろう。
 自らの企業活動が強い公共性を帯びていることを自覚してほしい。来年は楽天が市場参入する。健全な価格競争を期待したい。
 料金の見直しでは利用者の利便性の観点を重視し、サービスの多様化が進むよう方向性を探るべきだ。政府は競争環境を整え、寡占の是正に取り組むことが求められる。
 中古端末の利用促進や格安スマホ業者の振興策、スマホの使える回線を制限する「SIMロック」の在り方も検討課題だ。
 新規参入を促すため、格安業者が大手に支払う接続料を見直すなど、関係する制度の透明化を一層図る必要がある。

[京都新聞 2018年08月29日掲載]

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