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障害者雇用半減  不正の背景に迫るべき

 中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題で、政府の調査結果が、きのうの関係閣僚会議で報告された。
 昨年雇用したと発表していた約6900人のうち、国のガイドラインに従わず、不正に算入された水増し分は3460人に上る。
 法定雇用率(当時2・3%)を上回る2・49%を達成したと公表していたが、実際は半分以下の1・19%だった。あまりにも、ひどすぎる実態である。
 33ある国の行政機関のうち、8割を超える27の機関で不正が見つかった。実際の雇用率が、0%台に落ち込んだところも多い。
 財務省の文書改ざんなどの不祥事に続き、またもや公的機関への信頼が失墜したといえよう。
 国、自治体、企業などには、一定割合以上の障害者を雇うことが、法で義務付けられているのを、改めて思い起こしたい。国は旗振り役でもある。
 対象者となるかどうかは、原則として障害者手帳で確認しなければならないとガイドラインに定められているが、水増し分は医師の診断書などをもとに障害者数に算入された。チェック機能が、まったく働いていなかったようだ。
 水増し行為は、中央省庁にとどまらず、今月27日までに29府県と7政令指定都市に広がっていたと分かった。滋賀県と県教育委員会も、不適切な算入があったと発表した。
 政府は、中央省庁の幹部らで、秋の臨時国会までに再発防止策をまとめるが、自治体を対象にした全国調査も行う方針だ。
 この際、不正の全容を明らかにして、対策を急ぐべきだろう。
 所管官庁の厚生労働省によると、今年5月に財務省からあった算定方法についての問い合わせを端緒に、問題が発覚した。省庁の一部からは「算定に関する理解不足が原因で、故意ではない」との声も上がっているという。
 しかし省庁には、長時間労働や突発事故の対応などで、自分たちの職場は障害者に適さないとの見方もあり、そうした意識が障害者雇用を軽んじ、安易な水増し行為に及んだともみられる。対策を講じるに当たっては、不正の背景にも迫ってもらいたい。
 法定雇用数を達成できなかった場合、民間企業には納付金の徴収や、企業名の公表などのペナルティーがある。今回の件では、障害者の就労の機会が奪われた可能性もあることを重く受け止め、公的機関でも厳正な対処が必要だ。

[京都新聞 2018年08月29日掲載]

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