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膨らむ五輪経費  支出の透明性を高めよ

 2020年東京五輪・パラリンピックに関わる経費総額が、大会組織委員会の試算を大幅に上回る可能性が出てきた。
 会計検査院が準備状況を調べたところ、直近の5年間に国が支出した費用は8千億円を超え、約1500億円としてきた国の負担分を既に大きく上回っていた。東京都も負担分以外に約8100億円の関連経費が見込まれると既に公表している。
 今後予想される支出も加えれば、総額は組織委が昨年示した1兆3500億円の試算を大幅に上回り、3兆円に達する可能性があるという。「コンパクト五輪」どころではない。
 検査院の調査で国の支出が大きく膨らんだのは、組織委が大会に直接関係がある経費を公表してきたのに対し、各省庁の関連施策費を幅広く集計したためだ。
 中には、「天然痘ワクチンの備蓄」や「気象衛星ひまわりの活用」といった関連の薄い事業も含まれており、政府関係者からは「乱暴な積算だ」と反発する声が出ている。
 一方で、なぜカウントされないのかと思える支出も多い。例えば総務省は17年度に組織委の職員らに、サイバーセキュリティーの攻撃・防御の演習をする事業を実施したが、これまで関連経費に含まれてこなかった。
 どこまでが大会に必要な施策と費用なのか。分かりにくい支出の実態がある以上、検査院が国の大会推進本部に対し、関連経費の基準を整理した上で業務内容や経費規模の全体像を対外的に示すよう求めたのは当然のことだろう。
 国民の不信を招かないよう、組織委や国は経費の透明性を高め、国民に支出の妥当性を説明する責任がある。
 近年の五輪招致では、財政負担の大きさを理由に撤退する都市が相次いでおり、コスト削減が大きな課題だ。スポーツに巨額の血税を投じることへの市民の抵抗感も強くなっている。
 国際オリンピック委員会(IOC)は「新基準」を設けてコスト削減を促し、東京大会についても1兆3500億円とされてきた開催経費のさらなる削減を求めている。
 国は国民の批判を避けるため、関連経費を極力絞り込んで公表してきたが、問われているのは数字のつじつま合わせではなく、実質的な経費削減をどこまでできるかだろう。経費をブラックボックス化したままでは、国内外の理解は得られない。

[京都新聞 2018年10月06日掲載]

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