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加計氏の説明  疑惑は深まるばかりだ

 安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園(岡山県)の加計孝太郎理事長が2回目の記者会見を開いた。
 学園が運営する岡山理科大の獣医学部(愛媛県今治市)新設を巡り、愛媛県の文書に記された加計氏と安倍首相の面会について「覚えていない」と繰り返し否定した。
 獣医学部を財政支援する愛媛県に対し、同学園の事務局長が加計氏と安倍首相が面会したと報告したことについても、「事務局長の勇み足」と説明した。
 今年6月の説明とほぼ同じ内容で、矛盾も多い。説明姿勢も誠実とは言いにくいものだった。
 「2015年2月25日に獣医学部新設の計画を加計氏が安倍首相に説明した」と同学園から報告を受けたという愛媛県作成の文書について、学園の事務局長が虚偽の説明をしたとして謝罪した。ところが、その経緯に関しては「よく存じ上げていない」とあいまいな態度に終始した。
 驚くべきことに、加計氏は愛媛県の文書を読んでいなかったとも話した。
 安倍首相は獣医学部新設について「事前に加計氏と話したことはない」「(計画は)17年1月初めて知った」と国会で答弁したが、愛媛県文書はこれを揺るがす内容で、最大の焦点である。
 だが、加計氏はその重要資料を読まず会見に臨んだ。何のための会見なのか分からない。一連の問題の幕引きをはかろうとする意図が透けて見える。
 愛媛県のほかの文書にも、加計氏と安倍首相の面会実現を模索しているという学園の説明がある。加計氏はこれらについても「見ていない」と繰り返し、内容を否定した。しかし、愛媛県の職員が勝手にこんなことを書く理由はない。説明は極めて不自然だ。
 愛媛県議会は今年7月、同学園に説明責任を求める決議をした。今回の会見はそれを受けたと学園は説明している。だが実際は、安倍首相への波及や国会でのさらなる追及を避けるため、自民党総裁選後で臨時国会前というこの時期を選んだのだろう。
 愛媛県の中村時広知事は「県に対しては説明責任を果たした」と一定の評価をしたが、31億円もの補助金を出した責任者としては、少々甘いように思える。
 獣医学部の新設が「加計ありき」で進められたのではないか、という疑惑が晴れたとは言いがたい。国会は加計氏を招致して疑惑を解明する必要がある。

[京都新聞 2018年10月10日掲載]

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