社説 京都新聞トップへ

JOCの定年  延長の動きは不可解だ

 不可解な動きと言わざるを得ない。
 日本オリンピック委員会(JOC)が、「選任時70歳未満」としている役員の定年規定を改定し、延長できるよう明文化することを検討している。
 竹田恒和会長(71)の続投が念頭にあるとみられるが、定年延長となれば、スポーツ界が取り組んでいるガバナンス(組織統治)強化に逆行することになる。
 スポーツ庁が新たに策定する競技団体の運営指針「ガバナンスコード」の素案では、役員の多選が組織を硬直化させ、女子レスリングやボクシングなど数々の不祥事につながったとの反省から、役員の在任期間や定年の規定を設ける方向で議論が進む。
 JOCはその指針に基づき、競技団体を審査しなければならない立場だ。そのことを忘れたような定年規定の改定は、節操に欠けると言われても仕方がないのではないか。
 鈴木大地スポーツ庁長官は、役員の任期について「ある程度、再任の回数や定年制等、規制があるべきだろう」と待ったをかけ、柴山昌彦文部科学相も「組織の新陳代謝を図ることは重要」とけん制した。当然のことだろう。
 2001年にJOC会長となった竹田氏は既に10期目だ。6~7月の役員改選で続投となれば、竹田氏の下で20年の東京五輪を迎えることになる。
 しかも東京五輪招致を巡り、贈賄の容疑者としてフランス司法当局から捜査を受ける身である。
 1月に会見を開いたものの、一方的に潔白を主張するだけで質問を受け付けず、わずか7分余りで退席して批判を浴びた。
 捜査は長期化が見込まれ、五輪開催までに疑惑が晴れるとは限らない。そんな立場にある人が東京大会のホスト国の顔の一人として職責を果たせるかどうか、大いに疑問である。
 影響は既に出ている。
 竹田氏は日本に2人いる国際オリンピック委員会(IOC)委員の1人だが、捜査が明るみに出てからは身動きがとれず、委員長を務めるIOCマーケティング委員会の会議などを「個人的な理由」で欠席している。
 JOCでは「東京大会は竹田体制で」という声が強いというが、続投した場合の大会への負の影響をもっと深刻にとらえるべきではないか。規定を変えてでも現体制を維持しようとするなら、その根拠を明確にしてもらいたい。

[京都新聞 2019年03月14日掲載]

バックナンバー
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)