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英国のEU離脱  「第3の道」を探れるか

 英国が欧州連合(EU)を離脱する際の手続きなどを盛り込んだ合意案が、再び英下院で否決された。
 メイ首相は今年1月の採決に続いて、自らが率いる与党保守党の離脱強硬派を説得できなかった。
 離脱は国民投票で選んだ道である。期限は29日に迫る。それにもかかわらず、具体的にどう達成するのかを決められない状態に陥っている。
 英政権は合意案の否決を受け、下院で13日に合意なき離脱の是非を、14日には離脱延期の賛否をそれぞれ問う予定だ。
 下院は、合意なき離脱を否決し、離脱延期を承認する見通しという。
 現在の合意案には賛成できないが、何の取り決めもないままの離脱も困る。英国議会の多数がそう考えているということだ。問題を先送りせず第3の道を探り出してほしい。
 離脱強硬派が反対しているのは、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの自由往来を維持するため国境に税関を設けない代わりに、英国をEUの関税同盟にとどめる、という条項だ。
 離脱派は、米国などと独自に自由貿易協定などを結びたいと考えており、EUの関税同盟はその障壁になる、と主張している。
 メイ首相は2回目の採決に向けEU首脳と協議し、2020年末までに関税同盟に代わる措置にするよう「最善を尽くす」とする付属書案をまとめた。
 それでも離脱強硬派は「英国がいつまでも主権を取り戻せない」と反発し、否決に至った。
 離脱派は「税関も関税同盟も嫌」というわけだが、それは非現実的というものだ。
 17年12月に英国とEUは離脱に関する基本協定を結び、アイルランド国境に「目に見える」国境を復活させないことと、英国と北アイルランドの一体性の保障を確認している。
 無秩序な離脱を回避するなら、基本合意に立ち戻る必要がある。
 メイ首相は離脱後にEUと自由貿易協定を結ぶ考えだ。関税同盟はその足がかりとなると訴える。たしかに、無協定からやり直すよりも双方に利益があろう。離脱派が受け入れられる関税同盟のあり方を探ればよい。
 労働党からは2度目の国民投票を求める声が上がっている。これも第3の道になるのではないか。
 英国の動向は世界経済にも影響する。冷静な判断を望みたい。

[京都新聞 2019年03月14日掲載]

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