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G20環境相会合  米へ配慮で迫力欠いた

 20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合が長野県軽井沢町で開かれ、海のプラスチックごみ対策について国際的な枠組みを構築することで合意した。
 各国の自主的対策を定期的に報告、共有することや、プラごみの海への流出監視強化が柱だ。
 使い捨てプラスチック製品の使用量や排出量を削減する数値目標、行動計画などは盛り込まれなかった。
 深刻化する海のプラごみ対策についての初の国際合意だが、各国の自主性頼みで迫力を欠く結果になった。
 情報共有は問題解決の重要な第一歩だが、それに終始してはならない。G20以外の国の参加を促し、より実効性のある協定へと育てることが不可欠だ。
 力不足になった直接の原因は、議長国の日本が廃プラ対策に消極的な米国に配慮したことだ。
 米国は昨年の先進7カ国(G7)首脳会議で海洋プラごみの削減に向けた憲章への署名を拒否し、今年3月の国連環境総会では、使い捨てプラ製品の削減に関する部分で閣僚宣言に加わらなかった。
 今回、日本は米国の合意を取り付けるため、最初からハードルの高い合意案を用意しなかった。
 プラごみの排出量が多い米国が合意の枠組みに入る意味は小さくないが、G20以外の多くの国に行動を呼びかけるという意味で、メッセージ性が弱まったのは残念だ。
 昨年のG7では日本も米国に歩調を合わせ憲章への署名を拒否し、内外から批判を受けた。それだけに今後は、今回の合意を主導した議長国として、積極的な行動が求められる。
 使い捨てプラ製品については、欧州連合(EU)とカナダが2021年までに大枠で使用禁止にする方針だが、日本は国内政策で大きく出遅れている。
 世耕弘成経済産業相は会合の冒頭、来年4月からのレジ袋有料化を唐突に打ち出した。現行の容器包装リサイクル法の省令改正で対応するという。
 この問題では、既に原田義昭環境相が「新たな法令を制定する」方針を公表している。政府内の調整はどうなっているのか。
 重要なのは、ごみの発生源であるプラスチック容器の総量を規制することだ。
 レジ袋有料化だけでなく、回収や代替品への積極的な移行を促す制度なども併せて必要になる。議論を急いでほしい。

[京都新聞 2019年06月18日掲載]

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