社説 京都新聞トップへ

ホワイト国除外  冷静に議論の糸口探れ

 日韓の対立が、いよいよ抜き差しならない状況に陥った。
 政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外すると決めた。
 これに対し韓国側は「無謀な決定」と強く反発、日本の輸出規制について世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を加速させるなど対抗策をとる考えを表明した。
 元徴用工などを巡る問題に端を発した両国の対立は、通商面での協力関係を揺るがすまでに発展した。極めて憂慮すべき事態だ。
 こじれた関係を修復するのは簡単ではない。だが、両国の経済は相互依存しており、対立が長引けば双方にとって打撃は大きい。
 冷静に、議論の糸口を見つけ出す必要がある。そのことを両国政府に改めて求めたい。
 世耕弘成経済産業相は「禁輸措置ではなく、日本企業に悪影響が出ることはない」と強調した。
 だが、先に実施した半導体材料3品目の輸出規制強化では、輸出遅延などの影響が出始めている。
 日韓は部品の調達・供給網で強く結びついており、業績悪化を懸念する企業も少なくない。
 通商面ばかりではない。韓国は今月下旬に更新の判断期限を迎える日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄も示唆する。
 日韓周辺では、北朝鮮が再びミサイルを発射して挑発を強めているほか、中国とロシアが日本海で初の合同パトロールを行うなど新たな緊張が高まっている。
 対立が東アジアの安全保障にまで拡大すれば、北朝鮮の非核化を目指す日米韓の足並みを乱すことになる。2日の日米韓外相会談で米側が対立緩和を働きかけたのも、こうした危機感の表れだろう。
 米国の同盟国同士のにらみ合いが地域の安定を損ないかねないことを、両国は認識してほしい。
 日韓がともに引けなくなっている背景には、国内世論がある。
 優遇対象国除外のパブリックコメント(意見公募)には約4万件もの意見が寄せられ、95%超が「おおむね賛成」だったという。
 韓国では日本商品の不買運動の動きが拡大し、市民団体の抗議集会が続く。日本を批判する文在寅(ムンジェイン)大統領の支持率が上がっている。
 両政府の強硬姿勢にそれぞれの国内の支持が根強いことが、双方の選択肢を狭めているようだ。
 日韓の自治体交流事業では停止などが相次いでいる。だが、民間交流は本来、政府間の対立とは別物のはずだ。柔軟に対応する知恵を双方に求めたい。

[京都新聞 2019年08月03日掲載]

バックナンバー
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)