Kyoto Shimbun 2002.8

提案型営業で信頼
  てくのハウスMAKINO(電器店・宇治市伊勢田町)

仕事の合間をぬって商品勉強をする牧野社長(左から3人目)ら。提案型の営業には商品知識が欠かせない(宇治市)
 京都市内で七月末に開かれた松下電器産業系列店「てくのハウスMAKINO」のV百達成感謝会は、お祝いムードで沸き返った。五月から約八十日間で冷蔵庫百台の販売を達成。有力地域店でさえ一カ月間の冷蔵庫の販売台数が平均三台といわれるなかで、驚異的な数字を記録した。

 「町の電気屋さん」として親しまれてきた町の電器店が、姿を消しつつある。松下電器産業によると、一九九一年には約二万四千店あった系列販売店は、現在二万店を切っている。大型量販店に押されて地域電器店が苦戦するなか、同店は独自の販売戦略で対抗している。

 100台を集中販売

 その一つが「キャンペーンの牧野」といわれる販売方法だ。特定商品を大量購入を条件にメーカーや卸業者から安く仕入れ「キャンペーン」と銘打って一定期間中に割引価格で集中販売する。対象は、冷蔵庫のような主要商品や各分野の新商品で、特に温水洗浄便座は九〇年から毎年一−二月のキャンペーン期間中に百台以上を売った。

 「新商品は価格も高く売りにくいが、利幅が大きい。提案型の営業ができるかが重要」と牧野伸彦社長(55)は話す。

 提案に欠かせないのが商品知識だ。キャンペーン前には社員全員で閉店後に勉強会を開く。客から「調子がおかしい」「使い方がわからない」など、連絡があればすぐに駆けつける。「安いだけではだめ。お客に信頼されることが必要」と牧野社長は力を込める。

 こうした販売方法は、開店当時の経験がきっかけだった。七六年に牧野社長は信金を脱サラし、宅地開発が進む宇治市に店を構えたが、顧客ゼロで来客もほとんどなかった。そんな時、発売された電動包丁とぎ器を訪問販売形式で営業を始めたのがきっかけで、得意先が開拓できた。

 二十三平方メートルからスタートした店舗は、現在百五十平方メートルに拡大、京都市内にも二支店を開店した。九六、九七年度は消費不況の影響で、二年連続の赤字を計上したが、経費の見直しなどで昨年度約一千二百万円の累積損失を一掃した。二〇〇二年二月期は、売上高も三億六千万円にまで回復した。

 使い方を詳しく

 同店が現在、最も注力しているのが住宅の増改築だ。九〇年に増改築専門店制度「ナショナルハウジングスタジオ」に登録し、電化製品の設置に伴う増改築だけでなく一般の増改築も請け負い、今では売上高の約三分の一を占める。

 今後、高齢化が進む一方で、デジタル家電など製品が高度化、高性能化する。「複雑な製品の使い方や機能を丁寧に説明できるのは地域の電器屋しかない。そこに生き残る道は必ずある」。牧野社長は、今後もより地域に密着した店づくりに徹する考えだ。

 ここがポイント
<基本は商品知識理解>
 名渕浩史マーケティングコンサルタント キャンペーンで大量販売する量販的なやり方と、従来の町の電気屋のようにきめ細かな顧客対応を上手く組み合わせている。商品知識が身につけられない電器店が多い中で、製品の性能や使い方を理解し、しっかりお客に伝えられることが売り上げにつながっている。特別なことをやっているのではなく、販売の基本を着実に実践している。

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