Kyoto Shimbun 2002.8

デザイン性に特化
  ヒートリー(眼鏡店・中京区御幸町通御池上ル)

独自性にこだわった品ぞろえで人気を集めるヒートリーの森社長=右(京都市中京区・オーグリー)
 京都市役所近くの民家を改造した店内は、ブティック風のガラス棚に色とりどりの眼鏡フレームがずらりと並ぶ。一九八六年、近畿で初めての若者向け眼鏡専門店・オーグリーをオープンした。以来十六年、量販チェーンの攻勢の向こうを張り、同じ中京区内の女性専門店ロジータや東京、大阪にグループ四店を展開している。

 若者に的を絞り

 「眼鏡屋らしくない眼鏡屋というのがコンセプト。どの店にもある眼鏡を置いてもつまらない」と話すのは森仁社長(45)。紳士向けを主力とするオーグリーは、青や黄色などカラフルで多種多様なデザインの商品をそろえる。おしゃれ好きの若者の間で口コミで人気が広がり、今では京都市内の二店だけで年商一億円を超える。

 商品のほぼ半数が海外製で、森社長自らが年二回、パリとミラノで開かれる国際見本市で吟味し、直接買い付けている。「ちょっと冒険してドキドキするような、友達から『どこで買ったの』と聞かれるような眼鏡を提供したい」と言葉に熱を込める。

 ブランドに頼らないため、販売価格の平均はレンズ込み三万五千円程度と値ごろ感がある。さらなる独自性を追求し、フランスの工房で手作りの自社ブランド「キーストーン」を製作するこだわりようで、中からヒット商品も生まれている。

 京都市内で三代続く時計・眼鏡店に生まれた森社長は二十八歳で独立する際、「洋服や靴に若者専門店があるのに、同じく身につける眼鏡にないのはおかしい」と思い立った。当時、店員は白衣をまとい、視力矯正器具としか認められていなかった眼鏡をファッションとして楽しめる店づくりを目指した。とはいえ、当初は商品が少なく、一般メーカーの「少し行き過ぎたデザイン」の品をかき集めての出発だったという。

 デジタル「試着」

 顧客応対でも、他店に先駆けてデジタルカメラ映像で客自身が似合う眼鏡姿を見比べられるシステムを導入。商品説明をはじめ顧客へのコンサルティングに力を入れている。時間はかかるが、ぶらり立ち寄った女優の浅野ゆう子さんが独自商品と丁寧な応対を気に入り、東京・代官山に共同店舗を開いたというエピソードもある。

 眼鏡業界では今、一万円以下という格安均一品が中心の「3プライスショップ」の開店が相次いでいる。中国製を中心とする価格破壊の波で、大手量販店も参入して戦国時代の様相だ。

 顧客層が重なる若者専門店も少なからず打撃を受けているが、森社長はすみ分けが可能とみる。「いずれ品質と価格のバランスを消費者が見極め、二極に分かれていく。国内メーカーも独自性を高めるはず」と話し、従来にも増してファッション性ある品ぞろえを強化していく考えだ。

 ここがポイント
<超専門店の成功例>
 アシスト経営研究室室長の横倉幸司さん(中小企業診断士) 眼鏡業界では難しかった紳士、女性向けなどターゲットを絞り込み、個別に運営することで店舗コンセプトを明確化している。商品も「ちょっと冒険」をキーワードにオンリーワンを追求しており、顧客本位を経営のベースとする「超専門店」の成功例だ。

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