Kyoto Shimbun 2002.8

掘り出し物に魅力
  タキシタ家具(家具販売店・中京区壬生馬場町)

家具が山積みに展示されている宝島の店内(京都市中京区)
 いす六脚付きテーブル一万九千八百円、洋服タンス一万九千八百円、二人掛けソファ九千九百八十円−。タキシタ家具は、傷や色ムラがある「B家具」を破格の安さで販売し、成長を遂げた。二百平方メートルに満たない売り場の天井に届く高さに家具を山積みした直営店の名前は「宝島」。来店客に掘り出し物を見つけてもらいたいという願いを込めて名付けた。

 「電車を乗り継いで流行の大型店に行ったが、見るだけで圧倒されて買い物にならなかったとの声を聞く。うちは店は狭いが、格安の商品をふんだんにそろえており、きっと欲しい商品が見つかる」と、滝下信夫社長(49)は胸を張る。

 一九九五年、京滋で初めてB家具の販売に乗り出した。家具の産地として有名な福岡県大川市を中心に全国各地から独自のルートで仕入れ、通常価格の三−八割引で販売している。傷があっても機能面でまったく問題がないため、根強いファンがいる。売上高は年一−二割増で、二〇〇二年八月期は十三億円の売上高を見込んでいる。

 戦後、両親が始めた露天商がタキシタ家具の源流。創業時は現在の本店がある京都市中京区で家具類を細々と商っていた。滝下社長が家業を継いだのは七三年。二十歳の時だった。高度成長時代の終えん、バブル経済の崩壊を経営者として経験。市場規模がピーク時の七割程度に縮小する中で同業者の倒産が相次ぎ、全国展開をめざす大型店が急速に増えていくのを目の当たりにした。

 業態転換が奏功

 転機は七年前、名古屋市でB家具を取り扱う先行店を知った時に訪れた。厄年を迎えた滝下社長は、人生の転機をも意識しながら「大型店と対向できる独自性がある」と確信、B家具の仕入れ、販売に乗り出した。業態転換は奏功し、アウトレットストアブームにも乗って急速に業容を拡大、京都市のほか、久御山町、亀岡市、大津市、名古屋市に計八つの店舗を構えるまでになった。

 広告戦略でも独自性を発揮する。中世の騎士を想像させるヘルメット、筋肉の隆起をかたどった着ぐるみ姿の滝下社長が自社キャラクター「のぶちゃんマン」を演じ、広告チラシやテレビに登場、話題をさらっている。昨年、家具を輸送するノウハウの蓄積を生かし、引っ越し業にも進出。現在、トラック五台で営業を続けている。リフォーム事業も手掛ける。

 100店にする計画

 宝島のフランチャイズ展開やホームセンターとの提携などで出店を加速、B家具販売店を百店に増やす計画を持つ。二〇〇八年をめどに株式上場もめざしている。「家具店は地域に密着し、古くから地元の人に愛されている存在。大型店に淘汰されるのを待つのではなく、小型店同士が手を取り合って生き残りをめざすべきだ」。滝下社長は、規模の小さな小売店の生き残りに向けた方策を練り続ける。

 ここがポイント
<客の意欲かき立てる>
 財団法人京都産業21産業振興部商業支援課の澤井照明さん 社長自身が広告塔を務める姿は、ユニークで目を引くだけでなく、従業員の範にもなっている。どこに何が置かれているか分からない家具の陳列法は、来店客の掘り出し物を探そうとする意欲をかき立て、集客の魅力にもなっている。大規模店と一線を画した独自性が若者にも受け入れられている。

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