Kyoto Shimbun 2003.8

素材と質にこだわる
  山田製油(ごま油製造販売・京都市西京区桂巽町)

 わずか2坪の狭い店だが、常連客が次々と訪れる。ごま油は1グラム2円で量り売りもしている(京都市西京区桂巽町)
 暖簾(のれん)をくぐると、ごまを炒(い)る香ばしいにおいが出迎えてくれる。阪急桂駅から北西に徒歩約10分。小さな通りに面して純和風の店を構える。

 山田製油は京都で唯一、ごま油を製造している店だ。作業場の前に作られた売り場はわずか2坪(6・6平方メートル)。立地条件は決してよくはないが、地元や遠方からの客が手作りの味を求めて次々に訪れる。山田康一社長(42)は「量産志向でなく、質にこだわって油をしぼり続けてきただけ」と控え気味だ。

 1934(昭和9)年創業だが、創業者の祖父が亡くなり70年代後半から店を休んでいた。食品会社に勤めていた山田社長が89年、会社を辞めて店を再開する。食品会社でエビを漂白剤や脱臭剤に漬け込む仕事を続けるうちに「祖父のように体にいいものを自分で手で作りたいという思いが強まった」と話す。

 妻と2人で、ほこりをかぶった窯(かま)や油の圧搾(あっさく)機をみがき直し、子どものころの手伝いで覚えた技法で油をしぼり始めた。しかし、十数年間の休業中に取引先との関係が消え、初年度の売り上げは40万円足らず。運送屋のアルバイトで生活をやりくりした。

 軌道に乗り始めたのは、5年目ぐらいから。「若い夫婦がなんか一生懸命やってる、と多くの人に助けてもらった」と振り返る。知人の紹介で首都圏の高級スーパーや自然食品店など販路が徐々に広がり、店にも常連客が付くようになった。

 いまでは年商2億3000万円に達し、うち4000万円を店頭で販売している。従業員もパートを含め20人を雇うまでになった。

 山田社長のモットーは「お客さんに安心して買って頂けるごま製品をこだわりを持って作る」ことだ。ごまは無農薬栽培にこだわり、自ら国内や中国、南米・パラグライに出向き、信頼できる農家から取り寄せる。

独自製法守り

 商品には一番搾りの油だけを使い、圧搾後1カ月間寝かせて不純物を沈殿させるなど独自の製法を大切に守る。鉄鍋でごまを炒っていた入社5年目の菊岡信義さん(35)は「栽培条件によってごまの様子がまったく違うので毎日ごまと対話するように心がけています」と焦がさないようにこまめに手を動かしていた。

 最近はごま油以外にもラー油や練りごま、ドレッシング、ごま塩など30種ほどの商品をそろえる。ごま油を用いたパスタなど100種近い料理レシピをホームページで紹介したり、ごまの産地や新製品の情報を載せる「へんこごま新聞」を年数回発行、約1万5000人の登録顧客に発送するなど情報発信も活発だ。

 「仕事は楽しくせな」と強調する山田社長。昨年6月には、地名にちなんで日吉町胡麻地区に作業場を開設、油を搾っている。工場は低温貯蔵庫など一層おいしい油が作れるよう工夫を凝らした。「いま、地元の農家にごまを栽培してもらっている。将来的には胡麻発のごま油を広めたい」と、山田社長は夢を膨らませる。  

 ここがポイント
<手作り感と際だつ香り>
 ジェイアール京都伊勢丹の堀田幸次郎食品営業部チーフマネージャー  素材へのこだわりがあり、手作り感のある製品を丁寧に作っている。香りが際立っており、多少高くても顧客を満足させる十分な価値がある。ごま油はいため物やラーメンなど何にでも合い、私はすき焼きの時、とき卵にごま油を数滴垂らして食べるのが気に入っている。

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