Kyoto Shimbun 2003.11

並行輸入で格安香水
  ホッパードリーム(香水販売、京都市中京区新京極通錦上ル)

有名ブランドの香水ミニボトルが山積みされ、若者たちでにぎわうホッパードリームの店頭(京都市中京区)
 若者や観光客たちでにぎわう京都市中心部の新京極商店街のなかでも、表一面をびっしり埋めた黄色い値札がひときわ目立つ。「グッチ」「ブルガリ」などのブランド名と「880円均一」の文字が踊る店頭のワゴンは、香水のミニチュアボトルが山積みされ、若いカップルなどが次々に足を止めて顔を近づける。

 京都市内でも数少ないフレグランス(香水)専門のディスカウントショップ。わずか3坪(約10平方メートル)ほどの店内だが、欧米ブランドを主体に120種以上の約800点をそろえる。すべて通常価格の4−6割程度の安売りで、学生にもあこがれのブランドが手が届くようにしている。

立地条件生かす

 大幅な値引きの秘密は、規制緩和で数年前から解禁された並行輸入制度の活用だ。各ブランドの国内総代理店とは別ルートで大量買い付けして仕入れ価格を抑えている。6年前の開店から順調に売り上げを伸ばし、店舗の年間売り上げは1億8000万円に達する。金田泰行社長(39)は「これ以上ない立地の良さを生かし、いかに店先を通る若者たちを引き込むか知恵を絞った」と話す。

 今の店舗に金田社長がたどり着くまでは試行錯誤の連続だった。もともとは祖父が昭和初期に周囲の映画館や旧「京都花月」の客を相手に始めた食堂で、自身も18歳から20年近く包丁を握っていた。

 しかし、相次ぐ劇場閉鎖などで客層が観劇客から若者に変わった。先細りを感じていた金田社長は子の誕生を機に一念発起し、店先で一坪ビジネスを開始。子供向けの「ガチャガチャ」や簡易ゲーム機など、当時の流行グッズを次々に手掛けるなかで、いち早く若者向け香水ビジネスに着目し、現店舗に一新した。

ネット販売も力

 開店当初からインターネット販売にも乗り出し、国内最大のショッピングサイト「楽天市場」に出店。約30もの同業者との競争のなかで価格、PR戦略を磨き、今やトップクラスの人気店だ。顧客向けメールマガジンの配信は約5万件にのぼり、自社サイトを含めたネット売り上げは店舗販売と肩を並べている。

 「修学旅行生をはじめネットで集客力が高まり、大量仕入れでさらに価格を下げることができる」と金田社長。他店への卸売りも広げているほか、「The香水屋」の店名で日本初という香水ディスカウント店のフランチャイズ展開に乗り出している。年内にも関東に初進出、五年で10店舗程度を見込んでおり、他業種向けにもネット販売のノウハウを販売するなど積極的だ。

 金田社長は「のれんを守るにも今の時代に合わせたやり方があるはず。絶えず次を考え、柔軟に対応しないと生き残れない」と語る。恵まれた立地だけでなく、商いの心も受け継いでいる。

 ここがポイント
<欲張らずが支持される>
 商業アドバイザーの横倉幸司氏さん
 いち早く市場参入し、ネット市場を押さえてうまく相乗効果を挙げている。立地を最大限に生かしたビジネスモデルだが、欲張らずに人気商品でも安売りを貫く顧客の視点が支持されている。

INDEX