Kyoto Shimbun 2003.12

目指すは憩いの場
  集花園(生花店・京都市上京区今出川通智恵光院角)

クリスマスの雰囲気があふれる店内には、西陣の風呂敷でラッピングした観葉植物など独創的な商品が並ぶ(京都市上京区)
 「普通の花屋がやらないような店作りをしたい」。17年前、西陣にある家業の生花店を継いだ谷奥秀男社長(41)は心に決めた。思いは実を結び始め、着実に客層を広げている。
 クリスマスの装飾が温かい雰囲気を醸し出す店内には、西陣産の風呂敷(ふろしき)と組みひもを使ってラッピングした彩りよい観葉植物が並ぶ。日持ちするように手作り加工した押し花額も個性的だ。滋賀県の農家から直接取り寄せた香り高いバラは、風呂に浮かべて楽しむように提案する。
 市場で仕入れた花をそのまま売るのではなく、店独自のセンスでラッピングしたり、花かごや花束にして売り出す。デフレで生花も価格破壊が起きている時代にあって、顧客を引き付ける高付加価値商品の創出に力を注いでいる。
 来店客の希望をそのまま商品化するのは当たり前で、花束に入れる花の種類や色のバランスなど「店員がさらに良いアイデアを提案できる双方向の関係づくりが大切」(谷奥社長)と考える。店は、来店客が花の話題を気軽に語ってもらえる「憩いの場に」と努めてきた。店の広さは25平方メートルと平均的だが、生ビールのサーバーを置いて無料で振る舞うなど遊び心もあふれている。
 ブライダルやイベントの装飾事業も2月に満開の桜を飾るなど新鮮な感覚と技術が評判を呼び、全国各地から注文が来る。谷奥社長と両親の3人だけだった小さな生花店は、20人の従業員を雇うまでに成長した。

客と磨く店の魅力

 さらに2000年から本格的に事業展開し、急速に拡大しているのがフラワーアレンジメントの教室事業「フラワーサークルLIN−輪」だ。もともと店内でささやかに開いていたクリスマスリースなど花の工作教室を全国展開する。
 貸会館の一室を借り、講師は教室ごとにアルバイトを採用する形で投資額を抑えた。桂や太秦など京都市内6カ所で始めた教室は、今では京滋を中心に2府10県で150カ所にのぼる。初心者や中上級者ごとに用意したテキストなど独自のカリキュラムが受け、生徒数は主婦やOLを中心に2500人に増えた。
 学んだことを家庭でも試そうと店で生花を買い求める生徒も増えている。花好きの顧客が増えれば商品センスも自然に高まり、店の魅力が向上するという好循環も出生まれている。年商は2億5000万円に達した。
 教室事業は、講師の質の安定化など課題もあり、現在は展開スピードを抑えているが、首都圏や海外に進出する夢もある。谷奥社長は「店も教室も花を核に憩いの場を提供するのが最大の目標。どの事業も花を飾る時と同じで、空気、空間、温度をしっかり読んでやっていく」と将来を見据える。

 ここがポイント
<付加価値付け消費者に>
 バラ生産農家・杉本バラ園(滋賀県竜王町)の杉本正樹さん
 私たち生産者が自信を持って育てた花をラッピングなどで付加価値を付けて販売してもらっている。生産者と小売店がそれぞれの力を出し合う形で、消費者にベストの品が届けられているはず。野菜では広まっているが、生産者の顔が見える販売方法も率先してやってもらっている。

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