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(2)新商圏 駅と周辺、集客に明暗
34ヵ月連続で前年実績を上回る快進撃を続けるジェイアール京都伊勢丹(京都市下京区)

 消費不況で流通業界の苦戦が続く中、開業から五年を迎えるジェイアール京都伊勢丹(京都市下京区)の売上高は、七月まで三十四カ月連続で前年実績を上回る全国でも異例の好成績が続いている。八月の記録更新もほぼ確実。オープン初年度三百九億円だった売上高は二〇〇一年度には一・七倍強の五百四十六億円にも達した。

 消費不況に苦しむ他のデパートをしり目に一人勝ちの様相を呈しているジェイアール京都伊勢丹。それは京都駅を核とした新たな商圏が誕生したあかしだ。

 若者の買い物スポットとしてすっかり定着した伊勢丹も開業当初は業界、マスコミから「関東風のテイストは京都では成功しない」と言われた。開店時に社長を務めたオムロン執行役員常務の川中英男は「最初は京都で受け入れられるのか不安で仕方なかった」という。

 開店前の一九九三年に社長に就任してから四年もの間、京都のマーケティングに力を尽くし、得意の婦人ファッションを中心に絞り込むことを決めた。「七十貨店」とも揶揄されながらの開店だったが、予測を大きく上回った初年度実績に「胸にこみ上げるものがあった」と振り返った。

 老舗デパートがひしめく京都で順調に数字を伸ばせた要因をジェイアール西日本伊勢丹社長の筧元則は「好立地条件に加え、得意なファッションを関東からそのまま持ち込んだのが受けた」と分析する。

 伊勢丹の急伸に四条通界わいでは昨秋に四店が一斉に改装。「四条通 が団結して活性化を考える」(川東義行京都高島屋店長)、「四条側の改装で伊勢丹の伸びも縮み、これからが勝負」(塚田博人大丸京都店店長)と京の百貨店業界に活性化の呼び水にもなった。

 だが、順調に見える駅側も周囲の商業施設からは「駅ビル内に集客がとどまっている」との声が多く、期待が大きかった駅周辺への経済効果 はうまく引き出せていない。

 八条口の商業施設アバンティは九八年に若者ファッション向けに改装し、伊勢丹との住み分けを図ったが、売上高は五年前に比べて二〇〇一年度は18%も落ち込んだ。駅北側の近鉄百貨店京都店も二〇〇〇年に大型専門店を導入し、業態変更を図ったが、伊勢丹の伸びとともに売上高は減少傾向で「塩小路が川のようになっている」(岩崎雅明店長)と嘆く。京都駅と似た形態で二〇〇〇年に名古屋駅に開業したジェイアール東海高島屋(名古屋市)でも一人勝ちの傾向が強く、「駅ビルでの滞留が増え、周辺への波及効果 はみられない」(ジェイアール東海高島屋総合企画室)という。

 成長著しい京都駅と四条界わいの百貨店売上高比率はまだ三対七。駅側は買い物には苦労しないが、映画館などの娯楽施設もないため、伊勢丹で買い物をしていた女子大生(二二)は「駅ビルだけで半日もいたら飽きてしまう」と不満を漏らす。

 駅ビル内で自己完結する商業拠点に終わらせず、周辺に面 としての展開を進めるために、さらなるステップアップが求められている。

(敬称略)

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