Kyoto Shimbun

アークレイ社長 土井 茂氏 健康食品さらに追求

 糖尿病患者の血糖値管理用自己検査機器で国内シェア6割のアークレイ(京都市中京区)が検査機器開発などの経験を生かした健康食品事業に力を入れ始めている。各事業での研究開発強化を目指し、新拠点として江戸時代の日本庭園「擁翠園(ようすいえん)」のある日本郵政公社京都貯金事務センター跡地(上京区)を昨年末に落札した。今後の事業展開などを聞いた。

どい・しげる 静岡薬科大(現静岡県立大)卒。1990年、アークレイ前身の京都第一科学入社。91年に取締役就任。営業本部バイオ部マネージャー、市場開発部マネージャーをへて94年から社長。神戸市出身。40歳。

 −新規に始める機能性食品素材の計画は。
 「今春をめどに事業化する予定だ。沖縄特産のかんきつ類シークワシャーから抽出、血糖値上昇抑制作用などを動物実験で確認した素材と、カモミールなど4種類のハーブから抽出し、抗糖化作用で肌などの老化防止が期待できる素材の2種類を開発、すでに食品会社や化粧品会社などにサンプル出荷している。脂肪を燃焼させ抗肥満対策を狙った第3弾も研究開発中で、5年後には機能性食品素材分野の売上高10億円を目指す」

 −健康食品事業参入のきっかけは。
 「ものの豊かな時代の中、糖尿病患者が食事制限を強いられている状況を知り、検査機器だけでなく、トータルで患者をサポートするため、2000年から健康食品事業に参入した。現在、低カロリーのようかんや京野菜スープなど「京優シリーズ」を開発。うち7品目が、食後の血糖値の上昇を穏やかにする特定保健用食品(トクホ)に厚生労働省から認定されている。しかし、売り上げとしては当初計画を下回っており、大きなてこ入れが必要となっている」

 「近年、健康でいられるように努力することをライフスタイルの中に組み込んでいる人が増え始め、健康ビジネスは転換期を迎えている。各企業も多様な分野でさまざまな提案をしているが、予防医学という点でビジネスになっているのはまだ少なく、研究開発力を高める必要がある」

 −41億円で落札した日本郵政公社京都貯金事務センター跡地の使い道は。
 「研究部門を強化するため、手狭になった京都市南区の研究施設を全面移転する。研究員も現在の180人から今後5年以内に300人体制にする方針だ。これまで京都大や同志社大などとの産学連携を行っていた経緯から京都市内で移転先を探していたところ、いいタイミングで土地が見つかった。研究者が自由に仕事に打ち込める環境として魅力ある場所。現在は庭園も荒れているが、30−40億円かけ建物と庭園を整備していく。庭園は要請があれば一般公開もしていきたい」

 −海外進出状況は。
 「病院向け糖尿病・尿検査機器や患者向け自己検査機器など主力製品の売り上げのうち、5−6割は海外だ。現在の総売上高540億円を1000億円にする目標を掲げており、06年には米国、オーストラリア、中国に相次いで販売や製造拠点を整備した。今後も積極的に展開していきたい」

[2007年2月20日掲載]